マーニー役の有村架純さんが一番印象に残っているキャラクターは彩香とのこと。「杏奈ちゃーん」と呼ぶ姿が印象的だったそうで、杏奈役の高月彩良さんも、完成した映画で彩香を観て、「あ、こんな声なんだ。かわいい!」と思ったそうです。そんな彩香の声を演じているのは杉咲花さん。米林宏昌監督作品(スタジオポノック)の「メアリと魔女の花」でヒロイン・メアリの声を演じています。久子を演じた黒木瞳さんは、アフレコの初日に参加したそうで、当日は黒木さんよりも米林監督のほうが緊張していたそうです。長セリフの多いキャラクターですが、一回映像を見ただけでタイミングがばっちりだったそうですよ。唯一何度も録り直したのが「あなたもマーニーに会ったのね」というセリフ。じっくり聴いてみてください!杏奈役が高月彩良さんに決まったのは、米林監督と西村プロデューサーが「彼女の声には問題がある」と感じたことが理由なんだそうです!とは言ってもこれは高月さんに問題があるということではなく、「問題を抱えている声」のように聞こえて、この声の持ち主が映画の中で心を解放していったら深い感動が味わえるんじゃないか、という考えから選ばれたそうですよ。マーニーという存在は、杏奈が現実世界での生活に意識を向けると消えてしまいます。雷の夜、マーニーのためにサイロへ向かうシーンでは、杏奈の頼もしさが初めて見られますが、実際は、それがマーニーが消えてしまうきっかけになっています。杏奈が強さを身に着けて、マーニーの存在がなくても生きていけるようになったということなんだそうです。マーニーに意地悪をする双子のねえや。まったく同じ顔に見えますが、髪の分け目と目元のほくろが左右逆になっているんですよ!「借りぐらしのアリエッティ」後、もう一度監督をやりたいと申し出ていた米林監督ですが、実は「思い出のマーニー」の監督をする話は一度断っているそうです!原作を読んで、面白いけどアニメーションで描くのは難しいと感じたからなんだそうです。それでも試しにイメージボードを描いてみると、段々作ってみたいという気持ちが芽生えていったということです。鈴木俊夫プロデューサーは、参考資料として『子どもの本を読む』という河合隼雄さんの本にあった「マーニー」の考察を脚本の丹羽さんに渡していたそうです。河合さんは心理学者として様々な著書を残しています。マーニーファンの皆様、チェックしてみるといいかもしれませんよ!マーニー役の有村架純さん、杏奈役の高月彩良さんがアフレコをしたときはほかの出演者の声はまだ収録されていなかったそうです。唯一、高月さんの森山良子さんとの共演シーンだけは後からもう一度録り直しているそうですよ!二人のシーン、注目です!原作では彩香は5人兄弟の3番目でプリシラという名前なんです。主題歌を担当しているプリシラ・アーンさんと同じ名前なんですね!何か運命を感じます…!杏奈とマーニーが森でとっていた鮮やかな黄色のキノコ。タモギタケといって、日本では北海道や東北によく見られます。脚本の丹羽圭子さんは、マーニーの家庭環境を独自に色々考えた上で脚本を執筆したそうです。それによると、マーニーのお父さんは欧米の商社に勤めていて、日本に来た時にパーティーで知り合った日本人女性と結婚しマーニーが誕生した、と考えたのだとか。最初は、マーニーのお父さんは本国に妻子がいるという設定も考えたそうです…! もしそのままだったらとても複雑な家庭環境になるところでした…。米林監督と作画監督の安藤雅司さんについて、プロデューサーの西村義明さんは「上手くいくかどうか危惧していました」と話しています。米林監督はダイナミックに誇張を含んだ飛躍したアニメーションをやる人で、安藤さんはリアリズムの作画の人、というイメージがあったからなのだといいます。安藤さんには「ぶつかった時は麻呂さん(米林監督)を立ててくれますか?」と聞いていたそうなのですが、「僕にもやりたいことがあるから、それは約束できません」との即答!結局は二人で意見交換しながら素晴らしいコンビネーションを見せていたそうです。宮崎駿監督は、映画を最後まで観ないで10分ぐらいで出て行ってしまうことが多いそうなのですが、西村義明プロデューサーによると「思い出のマーニー」は最後まで観て「麻呂(米林監督)はよく頑張った」と褒めていたそうです。さらに、高畑勲監督はA4用紙2枚にわたる長いメールを西村さんに送り、その中で米林監督を称賛したそうです!巨匠二人をうならせた米林監督…さすがです!原作との違いのひとつが、杏奈が絵を描く女の子になったこと。米林監督は、杏奈が絵を描くことで、その時の視線や姿勢、絵の内容で心の中を表現できるんじゃないかと考えたそうです。原作で久子の元になったのはギリーおばさんというキャラクターで、彼女はもともと絵を描く女性だったそうです。杏奈と久子に共通点ができれば、二人のつながりがより強く描けるのでは…という思いもあったそうですよ。米林監督によると、彩香(さやか)は、マーニーがいなくなっても杏奈は大丈夫だと思わせてくれる重要な存在なのだそうです。「彩香は、マーニーが開けられなかった青い窓をいとも簡単に開けることで物語に突然登場します。友達というものは、そんな感じなのかなと」物語に登場するサイロは、原作では風車だったそうです。しかし、日本では原作に出てくるような風車で実用のものは存在しないそうで、北海道という舞台にぴったりなサイロに変更したそうですよ!パーティーのシーンで出てくる紫色のドレスの婦人がマーニーのお母さん、杏奈に飲み物を差し出してくれる紳士がマーニーのお父さんです。とても美しい絵になる二人ですが、マーニーへの関心は薄く、子育ては使用人にまかせっきりです。 後日、アンナたちが老婦人のギリーにマーニーの日記を見せると、彼女は湿地屋敷に住んでいたというマーニーの過去を語り始める。大人になったマーニーは結婚して娘が産まれ、孫娘もできたが、マーニーの娘は交通事故で亡くなり、マーニーも孫娘を引き取ってからすぐに亡くなったのだという。その話を聞いたミセス・リンジーは、その孫娘とはアンナのことではないかと思いあたる。ギリーの話が、アンナの養母から聞かされていた、幼き日のアンナの話と一致したのだ。孤児院に入れられたアンナは湿地屋敷の写真を持っており、その写真から手を離そうとはしなかったという。2015年3月18日にBD (VWBS-8216) とDVD (VWDZ-8216) が発売された。アンナはリンジー家のような大家族の子供ですら、時々「輪」の外側にいると感じていることに気づく。それは、近くに誰かがいるかどうかとは関係がなく、心の中の問題だったのだ。ミセス・リンジーは、雨の日にずぶ濡れで屋敷の中に入ってきたアンナを見て、こんな日に外にいたのかと驚く。するとアンナは、自分はもう「中」にいるのだと言って笑うのだった。マーニーと別れたあとのアンナは、少しずつ人に心を開くようになり、湿地屋敷に引っ越してきたリンジー家の人々と友人になる。マーニーのことは自分が想像で作り上げた友達だと思うようになっていたが、アンナはリンジー家の少女から、アンナの"秘密の名前"を砂浜に書いたので見てほしいと言われる。アンナが見にいくと、そこには「マーニー」と書かれていた。少女は湿地屋敷でマーニーの日記を見つけており、引っ越してくる前にアンナが屋敷の門から出てくるところを見たことがあったので、日記を書いたのはアンナだと思い込んでいたのだ。不思議なことにマーニーの日記は50年も前のものだった。少女の母であるミセス・リンジーは、湿地屋敷のことを昔から知っている老婦人のギリーならば、すべての答えを知っているかもしれないという。村を訪れたアンナは、入江の畔に「これこそずっと自分が探していたものだ」と直感的に感じる古い無人の屋敷を見つける。"湿地屋敷"と呼ばれるその屋敷を、なぜかアンナは特別な存在だと感じ、この屋敷に住むことになる人は特別な人のはずだと夢見るようになる。屋敷は長いこと無人だったはずだが、屋敷に長く住むという不思議な少女マーニーとアンナは出会う。マーニーを「まさしく自分のような子」だと感じたアンナは、彼女と友達になり、悩んでいた養育費のことも打ち明けるようになる。アンナは、恵まれた子だと思っていたマーニーが孤独を感じていることも知り、やがて友情を深めた二人は永遠に友達でいる誓いを立てる。マーニーの生涯を話し終わった久子は、「あなたもマーニーに逢ったのね」と杏奈に囁くのだった。その後、アンナの養母が村を訪れ、アンナに養育費のことを打ち明ける。彼女はお金をもらっていることでアンナが傷つくかもしれないと恐れ、アンナには黙っていたのだという。アンナは大きな心の荷を降ろし、いつしか自分でも知らないうちに、母と祖母への憎しみが自分の心から消え去っていたことにも気づく。