慶應義塾大学病院の公式Webサイトです。我々は福澤諭吉の精神にもとづき、患者さんに優しく信頼され、先進的医療の開発、人間性と深い医療人の育成を実行してまいります。このページでは弊社の「耳鼻咽喉科」について掲載しております。 年間の初診患者は約6000名、年間手術件数は入院全身麻酔手術約800症例(延べ手術件数1000件)で、局所麻酔手術や外来小手術も含めると1200件を越えています。耳の痛み、耳だれ、耳の詰まった感じ、耳鳴、聞こえが悪い、音が響く、言葉が聞き取りにくい、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、においがわからない、鼻血、頬の痛み・腫れ、のどの痛み、飲み込みにくい、飲み込むとむせる、口が開かない、口の中が腫れた、のどに何かある気がする、声がかれる、声が出しにくい、顔から首にかけて、腫れもの・出ものができた、めまい、ふらつき、目がつぶれない、口の中のものがこぼれる、顔が曲った、いびきをする、寝ている時に呼吸が止まる耳鼻咽喉科は耳や鼻、のどといった比較的、狭い領域を担当する診療科と考えられがちですが、実際は首から上の範囲をカバーしています。神経内科や脳神経外科が担当する脳と脊髄、眼科が担当する眼球を除いた頭部および頸部の広い領域も担当しています。また、担当する領域が広いだけではなく、風邪や花粉症、鼻出血、中耳炎、めまいなど、誰もが一度は経験するような疾患の診療(プライマリケア)から、聴力改善手術や頭頸部の治療などの専門性の高い診療まで広範な診療内容を特徴としています。このような診療内容から、最近では「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」と呼ばれるようになっています。耳鼻咽喉科・頭頸部外科は頭部および頸部で脳と脊髄、眼球を除く広範囲にわたる領域を担当しています。また、生活の質に直接影響する多くの機能、例えば、聴覚、嗅覚、味覚のほか、自分の足で歩くためのバランス感覚を担当し、食物を噛んで飲み込む咀嚼・嚥下機能と会話を楽しむための音声・言語機能も診療範囲としています。このように生活の質の向上のために重要な役割を担う診療科であり、これらの耳鼻咽喉科・頭頸部外科疾患全般において最新の医療を提供できるように各専門分野のエキスパートを揃えています。また、各疾患に応じて専属の看護師、臨床検査技師、言語聴覚士、臨床心理士と連携した「チーム医療」として対応するのも大きな特色です。Copyright (C) Keio University All Rights Reserved. 耳鼻咽喉科専門医、補聴器適合判定医師 慶応義塾大学病院耳鼻咽喉科(2001-2002) ミシガン大学クレスゲ聴覚研究所(2002-2004) 慶応義塾大学病院耳鼻咽喉科(2004-2005) 済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科(2005-2007) 静岡赤十字病院耳鼻咽喉科(2007-2008) 「耳鼻科で受診しています♪大学病院らしく、3時間とまではいかなくても1時間待ち1分診療です…(続きはサイトへ)」その他にも、診療科目、診療時間、比較的混まない時間、実施している先進医療、専門外来、予防接種など、詳しい情報を掲載しています。 世界的に権威のあるランセットという雑誌で最近、認知症の患者さんの3分の1は予防可能であるという論文が発表されましたが、この予防可能な3分の1の患者さんの中に、難聴を適切に治療せずに認知症になってしまった患者さんが含まれます。補聴器と言うと抵抗感があるかもしれませんが、聞こえが良くなったり、耳鳴りが気にならない生活を想像してみてください。耳に小さな機械を付けるというちょっとしたことでも一歩踏み出してみたら、その後の生活が変わるかもしれませんよね。実は認知症の患者さんの中には、難聴があり、治療せず放置したことで認知症になってしまったと言う方もいらっしゃいます。また、難聴があることで気分が塞ぎ込んでしまい、うつになってしまうことでも認知症のリスクは高まります。2019年5月には日本聴覚医学会で3年かけて作成してきた耳鳴診療ガイドラインが発行される予定です。ガイドラインができることで、今後、耳鳴の適切な診療が全国的に広まることを期待しています。近年、認知症と難聴との関連について研究が深まっています。会話が聞こえるというのは脳にも刺激を与えますし、アメリカでは記憶がよくなるとも言われております。雨の降る夕刻にインタビューに伺わせていただきましたが、秘書様方が明るく出迎えてくださりました。神崎先生は最先端の研究にも造詣が深く、耳鼻咽喉科領域の将来を構築してくださる先生だと感じました。そのような権威ある先生ですが、インタビューの際には終始穏やかで、質問にも快くお答えしてくださりました。診療では「はっきりおっしゃることもあるんですね」と患者さんから仰られることもあるそうですが、患者さんに率直にお話をされる背景には早くよくなっていただきたいというお気持ちがあるからだと先生のお人柄から伝わってきました。難聴や耳鳴りといった症状でお悩みの方が安心して受診していただけると幸いです。退院後は手術後1〜2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と経過を確認していきます。患者さんから飛行機やスイミングはいつから可能かとよく尋ねられますが、飛行機は1ヶ月、スイミングは2ヶ月少々避けてもらうことが多いです。もちろん患者さんの状態にもよりますけれども。私の家は祖父の代から耳鼻咽喉科医でしたので、自然とこの道を志してきたように思います。この他、環境的な要因として若い頃から大きな音を聞いていると突発性難聴になりやすいと考えられています。現時点で、どの程度の音量をどの程度の期間聞き続けると影響があるかはまだわかっていませんが、日頃、大音量で音楽を聴かれるなど心あたりある方は、耳の健康を考えて少し見直されてもよいかもしれませんね。音は空気の振動として伝わるのですが、私たちが音を知覚する時にはこの振動が鼓膜にあたり、耳小骨と言われる3つの小さな骨を介して脳に伝わります。慢性中耳炎では、その鼓膜に穴が空き、さらに炎症によって耳小骨が硬くなるため振動が伝わりにくく、そのため手術ではダメージを受けた炎症部分を取り除き、耳小骨を直してから穴の空いた鼓膜を塞ぐ治療を行います。当院では、手術の適応について年齢で区切るということはしておりません。患者さんの状態や検査結果などによって手術の適応を判断し行なっています。現在は人生100年と言われてますので、もし80歳で治療が必要となった場合でも、その後20年の生活があります。その20年を耳が気になり不便な思いをしたまま生活するのは辛いですから、年齢で限らない治療を検討しています。慢性中耳炎の手術や耳硬化症の手術では耳小骨を人工の骨に交換する手術も行うのですが、当院ではより安全性の高い人工骨を開発し、手術も簡便に行えるようになりました。この人工骨を当院で開発できたことも強みと言えますね。治療による聴力の回復についても突発性難聴の方の3分の1がもとの状態まで回復し、3分の1が少し改善し、残り3分の1は改善しにくいと言われています。残念ながらどのような要素が聴力の回復に影響するのかはまだわかっていませんが、今後フィブリノーゲンの値の変動を見ることで、聴力がどの程度回復するかが予測できるかもしれません。日頃の診療では、きちんと治療についてご説明するように心がけています。先ほどもお伝えしたように難聴や耳鳴りの治療にはお薬ではなく補聴器のような機器が必要になることもあります。特に耳鳴りでは補聴器をお勧めするが多いのですが、直ぐには受け入れられない方がいらっしゃることも事実です。現在、我々はこの骨の硬さを調べる医療機器を他の大学の先生と共同で開発しています。医療機器が実用化すれば、慢性中耳炎や耳硬化症の新しい手術方法が可能になると考えています。また、以前は鼓膜の奥の手術を行うには耳の後ろの骨を削って顕微鏡で覗き込む必要がありましたが、最近では患者さんによって耳科手術用の内視鏡を使い、極力小さな傷で手術ができるようになりました。突発性難聴は50歳代をピークに発症しますが、中には20歳代など若くして発症される方もいらっしゃいます。原因がわかっていない部分も多い病気ですが、最近の研究では血液検査で測るフィブリノーゲン(※血液を凝固させる成分)という値と関係がありそうだとわかってきました。フィブリノーゲンの値は感染症でも上がりますので、もしかしたら背景に感染症があるのかもしれません。是非この機会に、お薬の内服以外にも様々な治療の選択があることを知っていただき、一緒に治していきたいと思います。当院では慢性中耳炎の手術は3泊4日の入院で行なっています。遠方の方は、抜糸を考慮して7泊8日の入院で行う場合もあります。手術の時期についても、ご紹介時に既に手術を受ける意思がある方は、早い方だと初診で手術日を決め、CT検査、聴力検査、術前検査まで済ましてしまう方もいらっしゃいます。耳鳴りについても原因はわかっていないことが多いです。耳鳴りの患者さんの中には検査をしてみると、実はご本人も自覚されていないような難聴が隠れていることが多くあります。難聴がある方の場合、外の音がよく聞こえないため、結果として身体の中にある音が響いて耳鳴りとなってしまいます。このような身体の中の音などを聞こえなくすることは難しいので、音響療法といって、ある音を気にしないようにしましょうという治療法を行います。この音響療法では音を気にしないためのカウンセリングと補聴器のような機器を使用して行います。音響療法は世界的には一般的なのですが、日本ではまだ認知が広がっておらず、患者さんからは「耳鳴りを治すお薬はないのでしょうか」とよく尋ねられます。患者さんによっては耳鳴りの治療で補聴器と驚かれてしまう場合もあるのですが、実は有効であるということを知っていただきたいですね。炎症で耳小骨がどの程度硬くなっているかによって、耳小骨を温存したり、人工骨と交換したりと治療方針が変わってきます。そのため、手術の際には針のような機器で耳小骨がどの程度、硬くなっているのかを調べているのですが、この硬さを客観的に評価することが難しく、もし今後正確に評価することが可能となれば、硬さの度合いによって術式をより適切な方法に調整し、手術後の聴力がどの程度改善されるかを予想できるようになるかもしれません。