そして、どんなに口頭でのミーティングを重ねたとしても、事後的に振り返った時に「客観的な証拠」と言えるのは、結局契約書だけ......という場合が多いのです。システム開発契約では、報酬の支払い時期が2通りあり得ます。仕事の完成時か、労務提供後か、ということです。すなわち、といった情報が、契約書(や添付された資料)から明らかになっているでしょうか?自分で何でもこなすことが求められるスモールビジネス事業者。それは法務も例外ではないですが、専門的な知識が必要とされている気がして、何となく苦手意識がありませんか? 今回は、初心者の方にもわかりやすく、注意したいポイントもふまえて「スモールビジネス事業者のための法務知識」について解説します。「想定外の問題が生じた場合」の話ですから限界はありますが、「義務の範囲」を可能な限り明確なように記載することをおすすめします。という違いです。本件の契約がどちらのタイプなのか、契約書上で明確になっているでしょうか?【新型コロナ関連】若手フリーランス・個人事業主が今すぐ知っておきたいお金の支援制度【給付金や融資は?緊急オンラインインタビュー】というシステム開発だとして、1の「問題」や2の「手段」が何なのか契約書上で明らかにされていないため、事後的にCopyright © Yayoi Co., Ltd. All rights reserved.自分がベンダー側であれユーザー側であれ、「自分がどのような契約を締結したのか」ということを、可能な限り明確に契約書に記載しましょう。実務上、特に問題になるケースが多い3個の点について解説します。「契約書なんてネットで探したテンプレートを埋めるだけで良い」「相手から渡された契約書にそのままサインすれば良い」というのは、特にシステム開発契約においては、非常に危険です。自分がベンダーとしてシステム開発を行う人、ユーザーとしてシステム開発を委託する人は多いはずです。ただ、システム開発は、紛争になって「泥沼化」することが非常に多いタイプの契約です。スモールビジネス事業主も、システム開発契約を締結する際には契約書を慎重に作成したり、チェックしたりする必要があります。スモールビジネス経営者のバイブル!「会計士オオノ先生に聞く!お金の経営相談」システム開発は、極めて個別性が高いタイプの契約です。また、残念ながら、開発が遅れに遅れて最終的に頓挫する危険もあります。万一そうなってしまった場合に問われるのは、「この契約は具体的にどのような契約だったのか」ということです。

個別契約書案(請負型) ... 5.独立行政法人 情報処理推進機構は、本資料の商取引への利用、システム開発への利用、開発されたシステムの使用、及び当該システムの使用不能等により生じるいかなる損害についても、なんら責任を負うものではありません。 プロジェクトマネージャーとは?PMの役割や必須スキルを徹底解説!2.注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。また、「業務の提供に対して報酬を支払う」という契約のため、IT企業(受注者)は完成責任と瑕疵担保責任を持ちません。委託契約には「委託契約」と「準委任契約」があり、システム開発は主に「準委任契約」で行われます。準委任契約は民法第656条で以下のように定められている契約です。一般的には、請負契約でも準委任契約でも開発開始前に仕様が固まっているべきですが、なかなか仕様を決められない発注者も多くありません。納期は動かせないため曖昧な仕様のままとりあえず開発をスタートし、後になって大きな変更が必要になってしまうことも少なくありません。準委任(じゅんいにん)とは、法律行為ではない事実行為の事務の委託することをいう。準委任にも、委任の規定が準用される。開発費用が1,000万円を超えるような開発では、このように工程別に契約形態を分けて契約するケースがほとんどです。請負契約の場合、事前に開発ボリュームを見積り、発注者と受注者の間で仕様を合意した上で開発が始まります。そのため、開発開始後に仕様を変更する場合に別途費用が発生する可能性があります。一方準委任契約の場合は「業務の提供」という契約内容のため仕様変更にも柔軟に対応できるというメリットがあります。ただし、派遣契約と異なり発注者は指揮命令権を持たないため、業務提供してもらっている人に対しての指示を直接行うことができません。指示する場合、受注者の管理責任者を通す必要があります。クラウドストレージとは?ビジネス用途のメリット・活用方法を解説【発注者必読!】絶対に知っておくべきリースとレンタルの違いとは?瑕疵担保責任とは、簡単にいうと「受注者は発注者と合意した品質を担保しなければならない」という民法第634条で定められている法律で以下のように定義されています。このようにシステム開発は工程別に契約形態を分ける多段階契約が主流です。ただし、開発が小規模であったり、開発が発生しないシステム導入の場合多段階契約にせず請負契約のみで行うことも多くあります。このケースは「一括請負」と呼ばれています。請負契約では、完成責任と瑕疵担保責任をIT企業(受注者)が持つため、納期と品質が法律で担保されることから発注者側にとって安全な契約と言えます。この記事では、IT部門にて契約を担当してきた筆者が、システムを活用する企業向けにシステム開発に関する契約内容をどこよりも分かりやすく解説します。ビジネスで活用できる無料クラウドストレージの特徴・メリット・デメリットを解説この場合IT企業は依頼された仕事の完成責任と瑕疵担保責任を持ちます。また、発注者はIT企業(受注者)に対して指揮命令権を持たないため開発方法に対して法的な拘束はできません。システム導入企画や要件定義を通して実装すべき機能や満たすべき性能を「発注者とともに」明確にしていきます。発注者と受注者の共同作業になるため、一般的にこの工程は準委任契約で行われます。ワードのみ・カテゴリーのみ・全て組み合わせるなど、自由な形で検索することができます1.仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。あらかじめ完成品の定義を両社で合意した上で締結する契約のため、開発途中での仕様変更が難しくなります。変更ボリュームによりますが、仕様変更により開発工数が増える場合別途費用が必要になります。詳細設計~総合テストは、要件定義と基本設計で定義した仕様に基づきIT企業が作業する工程になるため、請負契約になります。つまり、定められた品質で納品されなかった場合に改修を指図したり、場合によっては損害賠償を請求できるという法律です。システムを活用する側の企業の皆様は、システム開発時にどのような契約方法があるかご存知でしょうか?IT法務に詳しい人材がいないユーザー企業では、IT企業が持ってきた契約内容のまま契約してしまい、後々訴訟などのトラブルになってしまう事が少なくありません。運用テスト(受入試験)は発注者側にて品質確認してもらう必要があるため、準委任契約でIT企業がサポートして行う形が多いです。ただし、完成責任と瑕疵担保責任がIT企業にあっても、遂行できるかどうかは別問題です。請負契約で発注した後にIT企業に遂行能力がなかったという事も多くあります。その場合は訴訟になりますが、工程別に多段階で契約を締結していた場合、終わっている工程については費用を払わなければならないケースもあります。基本設計は、要件定義がしっかりできている場合は請負契約で行うケースがほとんどです。逆に、発注者側が決めきれてないなど後々開発ボリュームが変わりそうな場合基本設計を準委任契約で行うこともあります。「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」この記事ではシステムを活用する企業向けに、システム開発に関する契約内容を初心者でも理解できるようなるべく分かりやすく解説してきました。請負契約と委託契約の違いなどだいぶ理解が進んだのではないでしょうか。準委任契約の場合、請負契約と異なり費用の妥当性が明快です。例えば、若手のエンジニアを1名1ヶ月フルタイムで雇いたいとします。この場合契約内容は、月140時間~170時間の稼動で月単価60万円、140時間~170時間を増減した場合1時間単位で別途精算という形が多いです。IT法務は「法律」に関することなので読んでいて楽しいものではないかと思いますが、IT担当者や発注者は必ず抑えておくべき内容です。発注金額が1,000万円を超すような案件では、ITコンサルタントなどに入ってもらうことも時には必要です。契約のたびにこの記事を読み直して最適な契約形態を選択して下さい。IT法務は契約を締結する前に必ず学んでおかなければならないものです。「契約」という性質上、難しく感じられる人が多いですが、実はそれほど難しくありません。システム開発でよく使われる契約形態はたった2種類だけです。Copyright © 2020 IT Koala Navi.請負契約とは民法第632条で以下のように定義されている契約です。請負契約の場合、その性質上開発が始まる前にその仕様など完成品の明確な定義を示す必要があります。そのため、仕様が曖昧な場合請負契約を結べません。よって要件定義を委託契約(準委任契約)でIT企業とともに行い、設計工程から請負契約で行うケースが多くあります。この事は後で詳しく解説します。価値ある情報でIT経営をサポートするとことん優しいITメディア簡単にいうと準委任契約とは、「業務の提供に対して報酬を支払う」契約のことです。派遣に似た契約で常駐してシステム業務を行ってもらったり、開発してもらったりする場合に良く使われる契約です。別名「業務委託契約」や「システムエンジニアリング契約(SES契約)」と呼ばれています。