出張の残業代に関しては、往復の移動時間に残業代が支払われるか、出張先での労働時間をどのように算出するか、出張中に休日があった場合はどうなるのか、出張手当等が支給されている場合に別途残業代を請求できるか等、多くの問題があります。 会社は、労働者の実労働時間を適切に把握し、その労働時間にしたがった残業代を支払う義務があります。ブラック企業では、できる限り経費を抑え、労働力を酷使しようと考えますから、宿泊出張など認められるわけもなく、遠方出張からの帰着が深夜遅くとなるケースもあります。「サービス残業」というと、実際には残業をしているのに、会社に対して金銭的負担をかけないために、労働者がサービスで居残りして残業をすること、というイメージがあるかと思います。 会社に勤務されている労働者の方であれば、サービス残業をしてしまっていることが多いのではないでしょうか。意識していなくても、実際は残業代が払われるにもかかわらず無償で働いてしまっていることもあります。 そして、この「サービス残業」は、終業時刻後の残業だけでなく、始業時刻前の残業、すなわち「早出残業」にも存在することに注意してください。 ...裁判例でも同様に、使用者が具体的な業務を命令していない以上、出張のためであったとしてもその移動時間は労働時間に算出されず、また、残業代請求権も発生しないと判示されています。ただ、出張期間の取扱は、会社によって様々であり、会社によっては就業規則にあたる出張規程を設けていたり、就業規則において出張期間中の事業場外みなし労働時間制を定めていたりなど、特別な対応をしている場合があります。ただ、次のケースでは、会社による具体的な労働時間の把握が困難とはいえないものと考えられています。遠方の出張ばかりを命じられると、非常に負担が大きく、不安、不満を抱く労働者も少なくないのではないでしょうか。まずは会社のルールを調べ、労働法に従って適法な扱いであるかを検討した上で、残業代の請求を検討するとよいでしょう。遠距離出張を繰り返し指示されると、「この長時間の移動時間には、別の賃金が発生するのが普通なのではないか。」という労働者の気持ちもよくわかります。© 2020 労働問題の法律相談は弁護士法人浅野総合法律事務所【労働問題弁護士ガイド】大手居酒屋チェーンの「ワタミ」が、リクルートの運営する「リクナビ」に出している求人広告が、「労働法違反なのではないか?」と話題になっています。 「ワタミ」といえば、過去にも、苛酷な長時間労働や、過労自殺をする従業員がいたことで、社会的にも大きな話題になったため、今回も、話題の求人広告が、適法なのか?違法なのか?が、社会の興味の種となっています。 「求人広告」の内容は、雇用契約の内容それ自体ではないものの、多くの場合には、このとおりの労働条件ではたらくこととなるため、違法な求人広告は許されません。 そこで今 ...と不安、疑問に思う労働者の方も少なくないのではないでしょうか。たまに出張があると、業務の気分転換となって楽しいものですが、頻繁に出張があったり、それが遠方で移動時間がかなり長かったりすると、出張が憂鬱になる場合があります。結論からいうと、出張期間中であっても、休日は休日として取り扱うのが原則です。したがって、休日にも具体的な業務命令を受けて業務を行ったという場合でない限り、出張期間中であったとしても、残業代が発生することはないこととなります。出張が遠方、遠距離となり、移動時間が相当な長時間となる場合には、「早朝に出発し、帰着するのは深夜になる。」といったケースも少なくありません。出張期間中といえども、基本的には、通常の業務と同様に考えるところから出発します。しかし、出張中の移動時間は、通常の通勤と同じ性質の時間であるとされ、労働時間には算出されず、したがって、法定労働時間を超えたとしても残業代を請求することはできません。賃金支払いの対象となる「労働時間」とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。これに対し、出張の移動時間は、睡眠時間に充てたり、読書をしたりといった、労働者による自由利用が可能な時間であるためです。しかし、出張の際の移動時間に、次のように具体的な業務命令が会社からなされている場合には、会社の指揮監督下にあるのは明らかですから、労働時間に該当することとなります。未払い残業代を、可能な限り多く回収するためには、残業代請求についての知識を理解する必要があります。 残業代請求をするために必要な知識を、労働問題に強い弁護士がまとめました。 正当な労働者の権利である「残業代請求」について、労働者の有利に進め、損をしないため、残業代請求についての基礎知識を理解してください。 「残業代請求」のイチオシ解説はコチラ! 残業代が払われない!いつ弁護士に法律相談したら一番いいの? 副業・兼業しているとき残業代を請求する方法! 過労死について弁護士に相談する方法と、5つのポイント ...「出張期間中の残業代に未払があるのではないか?」と不安、不満な労働者は、労働問題に強い弁護士のご相談ください。残業代請求を検討している方は、労働問題に強い弁護士へご相談ください。残業代が未払いの、いわゆる「ブラック企業」に対して、労働基準監督署(労基署)が「指導」をした、というニュースを、新聞やテレビなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか。 労働基準監督署(労基署)の、会社に対する監督手段のうち、とても強力なものが、今回解説する「是正勧告」です。 労働者側の立場で「未払残業代」の問題を解決したいとき、労働基準監督署(労基署)の「是正勧告」が助けとなる場合もあります。しかし一方で、「ブラック企業」の中には、「是正勧告」を無視し続けている会社もあります。 そこで今回は、労基署の ...以上の通り、出張のための移動時間は、特に具体的な業務を会社から命令されない限り、労働者が自由に利用することが保証されており、労働時間に該当しないのが原則です。弁護士法人浅野総合法律事務所(東京都中央区銀座)は、代表弁護士浅野英之(日本弁護士連合会・第一東京弁護士会所属)をはじめ弁護士5名が在籍する弁護士法人。不当解雇、未払残業代、セクハラ、パワハラ、労災など、近年ニュースでも多く報道される労働問題について、「泣き寝入りを許さない」姿勢で、親身に法律相談をお聞きします。「労働問題弁護士ガイド」は、弁護士法人浅野総合法律事務所が運営し、弁護士が全解説を作成する公式ホームページです。出張の際の往復に要する時間は、労働者が日常出勤に費やす時間と同一性質であると考えられるから、右所要時間は労働時間に算入されず、したがってまた時間外労働の問題は起こり得ないと解するのが相当である。しかし、出張の場合には、会社の事業場外で就労することになるため、タイムカードの打刻など、通常の方法によって労働時間を把握することが困難です。したがって、会社の指揮監督下にある場合には、出張の移動時間と業務時間とを合わせて法定労働時間を超える場合には、残業代支払請求が可能となります。通常の方法以外の方法によっても労働者の労働時間を把握することが困難な場合には、「事業場外みなし労働時間制」を導入し、所定労働時間、もしくは、労使協定を締結した時間だけ労働したものとみなす制度を利用することが考えられます。このように、出張期間中あるいは移動日が休日となる場合、「出張中の残業代」の問題はどのように考えるべきでしょうか。これに対し、出張期間中の休日に、具体的な業務命令がなされたり、または、黙示の業務命令に基づいて休日労働を行ったという場合には、休日割増賃金の請求を行うことができます。すると、労働時間の把握が困難とはいえず、「事業場外みなし労働時間制」を適用することはできません。この場合には原則に戻って、法定労働時間を超える労働には、残業代支払請求権が発生することとなります。出張の移動日が休日となり、平日に出張先で業務を開始するためには、休日中に移動をしておく必要がある場合も少なくありません。政府が主導する「働き方改革」では、「違法な長時間労働の是正」が重点キーワードとなっています。最近の「時短」の流れは、大手広告会社「電通」での過労自殺事件に端を発しています。 しかし、「時短」が重要視されるあまり、新たなハラスメント(嫌がらせ)が生まれています。それが、会社が社員(労働者)に対して「時短」を強要する「ジタハラ(時短ハラスメント)」です。 「ジタハラ」は、会社が「長時間労働を減らす」目的で行うため、違法であるとして戦いづらい面がありますが、労働者が我慢をすれば、ブラック企業の違法行為はさらに加 ...一定の時間分の残業代を、固定額であらかじめ支払っておく方法を、「固定残業代」、「定額残業制」などと呼び、様々な業界、会社で導入されてきました。 しかしながら、固定残業代として支払われた金額を越えて残業をした場合には、残業代を支払わなければならないにもかかわらず、残業代未払いを続けるブラック企業による「制度の悪用」が続いたことから、裁判例では厳しい態度が示され続けていました。 この度、平成29年(2017年)7月7日に下された最高裁判決を受け、定額残業制についての残業代支払に関する通達が出され、適切な残業代 ...出張期間中の労働時間の算出、残業代の計算については、一般的な理解と少し乖離している部分もあり、裁判例も合わせた労働法の正確な理解が必要です。特に、現代の交通網の発展によって、遠方の出張であっても、国内であれば、日帰りで往復できる場合が非常に多くなってきました。出張がある程度の日数となる場合には、平日だけの出張では足りず、出張期間中に休日があるケースがあります。 残業をしていることを使用者(社長や上司)が知っているにもかかわらず、見て見ぬ振りをしているケース。あるいは、使用者から「(残業は認めていないから)早く帰りなさい」などの指示を受けたこと …
出張時に時間外での労働が発生した場合に、残業として時間外手当ても受けることができるのか気になる方も多いはず。 出張時の残業時間について以下2つの考え方を取り上げます。 みなし労働時間制の場合
ここでは、労働時間に関する有名な裁判例である「三菱重工業長崎造船所事件(最高裁判所 平成12年3月9日判決)」による定義をご紹介します。まずは、出張に伴う移動時間が労働時間に該当するかどうかについて争われた裁判例をご紹介します。まず一つめの例外は、移動時間において、物品、現金、有価証券、貴金属、機密書類などを運搬することを命じられ、それ自体が出張の目的となっているような場合です。出張先からの移動が休日になされたからといって、休日労働に従事したとはいえない。さらに、労働基準監督署の通達においても、移動時間について以下のとおり、労働時間には該当しないと判断しています。例外的に出張の移動時間が労働時間に該当する場合として、以下のケースがあげられます。労働時間ではないから管理は必要ない、という捉え方にはリスクがあると考えます。さらに、出張の期間中は、食事、宿泊など私的な行為を伴いますが、原則としてこれらの行為は、出張に通常伴う行為として、業務の遂行性が認められています。移動時間が労働時間に該当するとなれば、労働基準法が適用されることとなり、法定労働時間の規制や残業代(割増賃金)の支払義務が生じるなど、労務管理に大きな影響を及ぼします。これは、運搬などをすること自体が業務であり、従業員は移動時間中も会社の指揮命令下にあることは明らかであるため、労働時間と解されます。移動時間は原則として労働時間になりませんが、それでは、平日の所定労働時間内に出張をした場合に、その時間はどのように取り扱うべきなのでしょうか。例えば、ホテルの浴室で転倒してケガをした場合や、あるいはホテルの食事で発症した食中毒などについても、特別の事情がない限り、労災と認められるものと考えられています。しかし、これはあくまで理論上の話であり、これではあまりに従業員にとって不利益であり、また、そもそも出張は会社の指示により業務を遂行している時間です。移動時間は、電車や車などの乗り物から降りて自由に行動できないため、一応は拘束されている時間ではありますが、到着までは眠っていようが読書をしていようが、従業員にとって自由な時間といえます。もし極端に移動時間が長い場合には、過労死などのリスクが高まり、会社の安全配慮義務の観点から望ましくありません。地方現場に出張して作業に従事する従業員が、出張作業の際の時間外労働に対する割増賃金支払いの仮処分を申請した事件です。労務管理で最も重要なテーマのひとつとして、「労働時間の管理」があります。【働き方改革】「有給休暇の管理簿」の作成が義務化!一番簡単でシンプルな個...以上より、出張に伴う移動時間は、原則として労災保険の支給対象になると考えてよいでしょう。両者の判例を見比べると、会社に立ち寄ってから現場に移動するまでの時間が労働時間に当たるかどうかは、移動時間は労働時間にならないという考え方を貫けば、従業員は所定労働時間内であるにも関わらず働いていないことになり、移動時間分の給料は控除する、ということになりそうです。この場合、会社に立ち寄った後の移動時間を労働時間と認めるかどうかについて、異なる見解の判例が存在しています。上司との会話が、仕事の打ち合わせや会議に類するものであったり、その場で上司の指示を受けながら書類の作成などを行った場合には、労働時間になると解されます。その中でも、出張に伴う移動時間が労働時間に該当するのかどうかについては、議論になりやすい論点といえます。移動時間は、原則として労働時間ではありませんが、実質的には従業員の時間を拘束しています。前述のとおり、原則として出張の移動時間は労働時間に該当しませんが、これには例外があります。そこで、今回は、出張に伴う移動時間について、判例や通達などを踏まえながら、深く掘り下げて解説します。労働基準法には、労働時間の定義は定められていませんが、過去の裁判例により、労働時間の定義が確立されています。例えば、「単に忘れ物を取りに帰った」など、明らかに会社による拘束のない場合には、現場から会社に戻るまでの移動時間を労働時間として認める必要はないと考えます。移動時間が労働時間に該当するかどうかを判断するために、まず初めに、そもそも労働時間が法律上どのように定義されているかを確認しましょう。労災保険では、事故が労働時間中に発生したかどうかは、判断基準とはされておらず、その事故が「業務遂行中」に発生したものであるかどうかを判断基準にしています。移動時間は法的にみて労働時間ではないとしても、やはり出張にどの程度移動時間を要するのかについて、会社は適切に把握するように努める必要があると考えます。横河電機事件は、会社が、韓国に出張した従業員の時間外勤務手当(残業代)の計算に当たって、「移動時間は労働協約に規定された実勤務時間に含まれない」ものと処理していたことに対して、従業員から、移動時間は労働協約に規定された実勤務時間に含まれるとして計算した時間外勤務手当(残業代)を請求した事件です。【新36(さぶろく)協定】転勤があった場合の時間外労働の通算について労災保険については、これまで説明した労働時間の考え方とは異なります。出張に伴う移動時間中に事故があった場合、労災保険の対象になるのでしょうか。