マンションを中心に高騰してきた住宅価格は上昇が一服するとの予想も出てきた マンション価格、株価に連動? コロナ禍の住宅購入 :日本経済新聞 榊淳司 2020.4.21 09:00 dot. 東京五輪まで残り1年を切った現在、「五輪後に首都圏のマンション価格は大きく下がる」という予測は勢いを失っている。理由は、過去、五輪を開いた国で「五輪まで不動産価格が上がり、五輪後に大きく下がったという国はない」という事実が徐々に知れ渡ってきたこと。そして、「高くなりすぎたマンション価格が暴落するなら、ここに至るまでに暴落してもよいはず。それが起きなかったのだから、従来と異なる不動産市 … 新型コロナウイルスの猛威が世界的に広がっています。賃貸不動産をお持ちの方は、新型コロナウイルスが今後、不動産にどのような影響を与えていくのか気になっている方も多いのでないでしょうか。短期的・長期的それぞれの面から予想されるリスクを解説します。
景気低迷が長引く可能性があることも要注意だ。減収や失業などでローンの返済が滞る例が増えると、金融機関は審査を厳格にするのが一般的。店頭などで表示する住宅ローン金利が下がっても、実際に借りる際の条件は返済能力に応じて決まるため、表示金利より高くなる場合がある。物件選びも大切だ。テレワークが広がれば、多くの人は自宅や自宅周辺での時間が増える。「利便性や周辺環境がシビアに評価され資産価値は二極化が加速する」と長嶋氏はみている。新型コロナウイルス感染拡大の影響が住宅市場にも及び始めた。売買や建設などの現場で混乱が続き、消費者の買い控えが広がりつつある。マンションを中心に高騰してきた住宅価格は上昇が一服するとの予想も出てきた。価格が下がればこれから買う人にとって費用が安くなるメリットはあるが、どんな点に注意すればいいのだろうか。都心の中古マンションを買う高所得者層は一般に株式も保有する人が多く、株価が上がれば投資余力が増すことでマンション需要が増え、逆に下がれば減る傾向があるという。感染拡大が早期に収まる見通しは立っていないため、株式相場は当面不安定な動きになる公算が大きい。マンション価格も調整しそうというのが長嶋氏の見立てだ。「部屋を引き渡す前に隅々まで消毒してほしい」。3月下旬、都内の不動産会社にこんな連絡が入った。中古マンションを仲介し、成約する予定の顧客からだった。「気持ちは分かるが、どこまで消毒すれば納得してもらえるのか」と担当者は困惑する。ほかの案件では商談の延期が相次ぎ需要蒸発を実感するという。不動産経済研究所(東京・新宿)によると2019年の首都圏新築マンションの平均価格は5980万円と1990年に次ぐ29年ぶりの高水準となった。高騰した新築を避けて中古マンションを探す人が増え、中古の価格も上昇している。有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。住宅価格は新築マンションがけん引するかたちで中古マンションや戸建ても上昇してきた。「新築マンションの価格が下がれば市場全体に波及し、従来より買いやすくなる」と渕ノ上氏は話す。緊急経済対策で住宅ローン減税特例を受ける際の入居期限が延びたことも背中を押しそうだ。19年夏からの第1期販売は好調だったが、20年3月下旬に予定していた第2期販売は延期され、販売再開の時期も未定となった。マンション需給が締まるとの見方がある一方、入居時期が不透明になったため需要が減るとの予想もある。不動産会社コンドミニアム・アセットマネジメント(東京・中央)の渕ノ上弘和・代表は「需要が低迷すれば、販売価格が下がることもあり得る」と話す。ただ足元で上昇基調が変わる可能性が出てきた。「都心の中古マンション価格は15~20%ほど下落してもおかしくはない」。不動産コンサルティング会社、さくら事務所(東京・渋谷)の長嶋修会長はこう話す。渕ノ上氏は「より慎重な資金計画が必要」と話す。ポイントは返済額が年収に占める比率。借りる際は一般に「25~40%以下」が目安だが、借りた後に減収になってもこの比率に収まるかを試算しておこう。買い手の意欲に水が差されているのは新築も同じ。洗面台や台所など住宅設備の部品は中国で生産することが多く、工場停止や稼働率の低下で入荷が遅れている。「トイレで数週間遅れになる例があり、解消するメドは完全には立っていない」とTOTOでは話す。マンションを中心に高騰してきた住宅価格は転機にきたとの見方が出ている(都内の高層マンション群)しかし安易な購入は避けたい。コロナで従来の常識が通用しないケースがあるからだ。例えば住宅ローン金利。景気が低迷すると下がるのが一般的だが、4月の全期間固定型「フラット35」は買取型の主力タイプで最低金利が前月比0.06%高い1.3%となった。10年固定型なども一部で上昇した。金融市場が荒れるなか国債も現金確保のため売られ、住宅ローン金利を決める際の目安となる新発10年物国債利回りが上昇(価格は下落)したためだ。新居の完成時期が読めないのは購入予定者にとって頭の痛いところ。引っ越しや子どもの転校といった生活プランを立てにくいだけでなく、当面の住まいの確保などで予定外の出費をすることにもなりかねない。新築マンションはどうか。分譲会社は通常、価格維持を狙って売り急がないため値下がりしにくいが、気になるのが2020年東京五輪・パラリンピックの延期の影響。選手村を再開発するマンション「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」(東京・中央)は分譲戸数4千超の大型物件で、住宅需要の動向を占う試金石とされている。 新型コロナウイルス感染症が世界中に拡散し、社会・経済に深刻な打撃を与えています。マンション市場も例外ではありません。価格が高くなりすぎたこともあって、売れ行きは鈍化しているものの、リーマンショック時以上の打撃といわれる今回の事態を受けて、マンション市場はどうなるのでしょうか。 新型コロナウイルス感染症拡大の怖さは、現在までの被害が大きいだけではなく、その影響がどこまで続くのか分からないところにあります。その論者によると、東京オリンピックは1年先送りにしても開催は難しく、日本は世界中から信頼を失い、通貨や国債の価値が急落、金利が上昇してハイパーインフレが始まり、住宅価格も暴騰するとしています。新築マンションの取引件数に関しては、「やや下落している」「大きく下落している」の合計が84.1%に達し、「やや上昇している」「大きく上昇している」はゼロでした。新築マンション取引は賑わいを失い、価格が大幅に下がるとする不動産会社が少なくないわけです。いや、新型コロナウイルス感染症の影響の深刻さを考えれば、そんな程度ではすまない、大暴落が起こるはず――というのが(1)の考え方です。いろいろな調査機関や住宅問題の専門家などが、今後のマンション市場への影響を予測していますが、その論調を大きく分けると、次の三つに分類できそうです。さて、実際にどうなるのか――正しい見極めを行う判断力が問われそうです。新型コロナウイルス感染症による景気後退によって、賃金は上がらず、むしろ実質賃金は下がる可能性がありますが、それでも、日本人の持ち家指向の強さは変わりません。不動産を持っている人が強いという土地神話に支えられて、多少苦しくても不動産を買っておこうと考える人は、一定の割合で存在するはずです。こうした考え方をとる専門家は少数派であり、個人的には、日本の経済・社会のファンダメンタルズを過小評価しているのではないかという気がします。すでに2019年度第4四半期(20年1月~3月)の実質GDP(国内総生産)は、図表1にあるように、年率換算でマイナス3.4%(速報値)まで低下しており、20年度第1四半期(20年4月~6月)は、三菱総合研究所の予測ではマイナス13.2%まで下がると見込まれています。調査機関によっては、20%前後のマイナスになるとするところもあるほどです。そうはいっても、需要が多少なりとも減退するのは避けられないので、価格も若干は下がるでしょうが、大幅な暴落はあり得ず、やや下がる程度の範囲に収まることになるとみているわけです。住宅ジャーナリスト、1952年生まれ。編集制作会社勤務を経て、1990年株式会社山下事務所設立。住宅・不動産分野を中心に新聞・雑誌・ホームページ・単行本等の取材・原稿制作のほか、各種セミナー、メディア出演などを行う。それを、超低金利が後押しすることになります。新型コロナウイルス感染症による景気後退が続けば、とても金利を上げることはできません。住宅ローンも超低金利が続くことになって、いまのうちに買っておかなければと考える人がいるのではないでしょうか。いずれにしても、当面は大きな落ち込みを避けられないわけで、マンション市場にも深刻な影響を与える可能性があります。図表2をご覧ください。これは、全国宅地建物取引業協会連合会が会員企業に対して、四半期に一度実施している調査から、最新の結果をグラフ化したものです。2020年4月時点で、3ヶ月後の市場について土地価格やマンション価格などの見通しを聞いているのですが、新築マンション価格では72.9%が「やや下落している」「大きく下落している」としており、なかでも19.4%と5社に1社近くが「大きく下落している」と答えています。新型コロナウイルス感染症が世界中に拡散し、大切な人命を奪うだけではなく、社会・経済に深刻な打撃を与えています。マンション市場も例外ではありません。価格が高くなりすぎたこともあって、売れ行きは鈍化しているものの、価格は2019年まで上がり続けてきましたが、リーマンショック時以上の打撃といわれる今回の事態を受けて、マンション市場はどうなるのでしょうか。一方、新型コロナウイルス感染症は長期的にみると、マンション価格の暴騰をもたらすので、まだ価格の安いいまのうちに買っておいたほうがいいとする専門家もいます。冒頭の三つのシナリオのうちの(3)です。反対に、「大きく上昇している」とする回答は皆無で、「やや上昇している」が2.6%とたいへん厳しい結果になっています。将来景気が回復すれば価格が上昇、金利も上がって買えなくなってしまう、だったらいまのうちに買っておいたほうが得策――と買いに走る人がいて、マンション市場の売れ行き鈍化が続いても、価格が暴落することはないと考えられます。その後については、いつこの新型コロナウイルス感染症を抑さえ込めるのかによって、見方が異なってきます。経済活動の自粛を6月までとした試算であれば、20年度第2四半期(20年7月~9月)には、年率15.5%まで急回復することが期待できますが、自粛が20年12月まで続いた場合には、なだらかな回復にならざるを得ず、本格的な回復が遠のいてしまいます。 ツイート. コロナウイルスによるマンション価格への影響を心配する情報も見られますが、実際にマンションの内覧のはかなり少なくなっています。 感染のリスクから外出を控えているというのも理由ですが、収入が減り今後の見通しが立たないため大きな買い物をは控える傾向もあるようです。