よって、まずは「検察人事に官邸が介入できるようになる今般の検察庁法改正は、司法権への不当な介入を許してしまうため、三権分立の破壊である」論に対しては「検察官は内閣と同じ行政権に属するので、三権分立はまったく無関係だ」と言う者が出ています。なお、「検察が起訴したら99%以上が有罪」という実態から三権分立論に言うところの司法側であると構成する見方が一部であるようです。※追記:安倍内閣が混同されるような経緯で動いていた責任はあるし、以下で指摘されているように、改正検察庁法が「特例」について内閣に白紙委任していることなどはダイレクトに問題視されてしかるべきだと思います。ですから、「検察は行政権だから三権分立はまったく無関係だ」などという論も、間違いだと言うつもりは無いですが、しかし一面的に過ぎるだろうと私は思います。私は基本的に、これまでの冤罪事件やら検察官僚のあの態度やら見てて、「検察は絶対的な正義だ」なんてこれっぽっちも信用してないから。だから政権の干渉を一切寄せ付けず、検察庁内部で人事のすべてを決める、なんてほうが危険に思える。陸山会事件なんかで旧民主党の人らも実感したと思うけどね。国家公務員法改正に伴う検察庁法改正を三権分立の観点から論難しようとしても、現行の検察庁法で内閣に1級検事の任命権を認めてることはそのまま放置されてるので、論じる意味があるのかと思うと、イマイチピンと来ません。⑥なお65歳への定年引き上げは2008年に検討が始まり、肯定的な意見が2011年には人事院から出ています。大がかりな変更になるので関係官庁の議論がまとまったのが2018年で、法案が国会に出たのが2020年3月。特定の問題とは無関係に進んでいた話だということは確認しておく必要があるでしょう。上記の図は一般的な三権分立の説明をする図として衆議院HPから持ってきたものです。繰り返しますが、先般の安倍政権による黒川検事長の勤務延長に関する検察庁法の解釈変更のドタバタについて論難するのは結構ですが、今般の定年制度の変更とは無関係です。「内閣による検察人事介入は三権分立の破壊」論の行き着く先は袋小路だった。ざっくりと「公正性」や「独立性」の話=政権が捜査・起訴権限を持つ機関の人事への介入の度合いが強まる制度にすることの問題、として論じてくれた方が、ノイズが少なくて済むんじゃないだろうか?と思うのです。さて、私としては「検察人事への介入が三権分立の破壊」論については、イマイチピンときません。「検察庁法改正は三権分立の破壊」論者は憲法第6条2項を「三権分立の破壊」と言わないのはなぜなんでしょうか(笑) 国家公務員法改正に伴う検察庁法改正を三権分立の観点から論難しようとしても、現行の検察庁法で内閣に1級検事の任命権を認めてることはそのまま放置されてるので、論じる意味があるのかと思うと、イマイチピンと来ません。 国家公務員法等の一部を改正する法律案 : R2.3.13: 内閣人事局 : 概要 (pdf/121kb) 要綱 (pdf/143kb) 法律案・理由 (pdf/697kb) 新旧対照表 (pdf/928kb) 参照条文 (pdf/397kb) 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法等の一部を改正する法 …    筆者は元官僚でしかも、後述するようにこの問題を担当していたことがあるので、興味を持って法案原文を読んでみた。なお、筆者は政治関係でよくわかないものにツイートすることを非難するつもりはないことを予め断っておく。どのようなものであれば、興味を持って発言するのはいいことだ。   しかも、今回の法案について、安倍政権が黒川弘務・東京高検検事長を定年延長し検事総長にするために法改正するとの一部野党と一部マスコミの主張があるが、おかしな話だ。というのは、法施行日は2022年4月1日、黒川氏は1957年2月8日生まれの現63歳で、65歳の誕生日は2022年2月8日なので、適用はあり得ないからだ。   ネットの上では、三権分立が保てなくなるという意見もあるが、検察庁は行政の中の一部であるので、三権の問題ではない。というか、日本ではもともと行政と立法は首相が衆議院から選ばれる段階で独立していないので三権分立でなく、間違った考えを前提とする批判は意味ない。   ツイッターで「#検察庁法改正法案に抗議します」という投稿が話題になった。国会で大きく取り上げられた。   国家公務員定年延長には長い経緯がある。2008年国家公務員制度改革基本法中に65歳まで定年延長は盛り込まれている。その法律は福田康夫政権のときだが、その企画立案の一人として筆者も関わり、当時の民主党の協力で成立した。その後2回(2011年9月、2018年8月)の人事院から政府への意見申出、3回(2013年3月、2017年6月、2018年2月)の閣議決定を経て現在にいたる。   まず、法案はどのような内容なのか。国会のサイトにもあるが、これはいわゆる「改める文」となっていて、担当外の官僚やましては一般の人が読めるようなモノでない。内閣官房のサイトにある概要などの方がわかりやすい。   検察官だけ定年延長しないとどうなるか。定年延長は年金支給開始年令引上げと連動しているので、定年延長がないと、定年になるが年金はまだという「年金難民」になりうる。要するに、特定人物の人事と制度としての定年延長は別だ。   これまでの議論の基本は、定年延長と年金支給開始年令引き上げと連動することだ。こうした経緯からみても法務省における特定人物の人事とはまったく無関係に、政権交代を超えて議論されてきた。   また、今回の法改正で特例延長があるので、安倍政権が恣意的な人事をするための法改正ともいうが、任命は検察は行政の一部なので内閣が行うが、その延長は不可というロジックが破綻している。しかも、日本では官僚トップに政治任用がなく、政治任用が当然の欧米の実情(米は数千人程度、英独仏でも数十人から100人程度の政治任用がある)からみて、先進国の中で日本は最も政治人事介入のない国だ。今回の法改正でもその伝統を崩さなければいい。

内閣官房のサイトにある概要などの方がわかりやすい。 筆者は元官僚でしかも、後述するようにこの問題を担当していたことがあるので、興味を 官民人材交流センターは、官民人材交流の円滑な実施のための支援及び国家公務員の退職後の再就職の援助を行うため、平成19年の国家公務員法の改正により平成20年12月31日に内閣府に設置された機関で … 国家公務員法等改正法の概要 平成19年7月 内閣官房 Ⅰ 目的 21世紀にふさわしい行政システムを支える公務員像を実現するため、公務員制度 改革全体をパッケージとして検討を進めつつ、実現できる改革から迅速に実現し、公 務員制度改革を前進させることが重要である。このため、能力・実績主義の人事管理 国家公務員の給与は、法律に基づいて定められており、職員の職務の複雑、困難及び責任の度合いに基づいて決められる俸給と、これを補完する諸手当から構成されています。職員の昇給・降給やボーナス(勤勉手当)には、 人事評価の結果が反映されます。 一般職の国家公務員は労働基本権� 本法(平成10年法律第103号)等に基づき進められ、国家公務員制度改革基本法(平成20 年法律第68号)の制定を経て行われた、平成26年の内閣人事局の設置を柱とする国家公 務員法等の改正2により、一定の結論をみた。 齢期の職員を最大限に活用するため、定年の65歳引上げについての国会及び内閣 に対する人事院の「意見の申出」(平成30年8月)に鑑み、国家公務員の定年を 引き上げる。 国家公務員法等の一部を改正す …