(C)TRIGGER・中島かずき/XFLAG【公開】2019年(日本映画)【監督】今石洋之【キャスト】松山ケンイチ、早乙女太一、堺雅人、ケンドーコバヤシ、古田新太、佐倉綾音、吉野裕行、稲田徹、新谷真弓、小山力也、小清水亜美、楠大典、柚木涼香【作品概要】炎を操る新たな人種、バーニッシュ、その中でも一部の過激な集団「マッドバーニッシュ」リーダー、リオと対バーニッシュ火災の救命消防隊「バーニングレスキュー」の新人隊員ガロは互いの信念の違いから衝突します。しかし、二人は全世界を巻 … 2019年5月の公開から半年以上の時を経ても炎が尽きない大人気アニメ映画『プロメア』。その注目の映画のあらすじや大興奮の結末、豪華キャストの他作品への補助線、感想にいたるまで映画『プロメア』をネタバレ解禁しつつ徹底解析!タイトルの意味とは? その後、ガロとリオがアイナの操縦する高速消防垂直離着陸機に放りこまれ、コンテナのなかで殴り合います。このときは、闘っている2人の絵と、それぞれの表情が交互に映されていました。人物への極端な寄り、と極端な引きの連続。つばぜり合いなどの白熱した近距離戦では、カメラを一気に寄せて緊迫感を出し、ビルから落ちそうなシーンではカメラを一気に引いてビルの高さを観客に理解させる。最後に、私が『プロメア』で感銘を受けた部分を以下にまとめておきます。話全体の流れとしては、リオとの闘い、炎の龍と化したリオとの闘い、クレイザーXに乗ったクレイとの闘い、バーニッシュになったクレイとの闘い、地球のコアに住み着いたプロメアを一気に燃え上がらせ、エンディング。しかも、物語が進行するほど、プロメアの活動が激しくなり、地球の爆発まで時間が無くなってきます。元からあった時間がどんどん少なくなっているのです。時間が少なくなればなるほど、緊迫感は増していきます。ほかにも立体的な字幕や、中途半端な色を使わない極彩色の色彩など、さまざまな要素があいまって、『プロメア』では映像的快楽の最大値が実現されています。それぞれ魅力的なキャラとして紹介されますが、最後のトリとしてガロを派手に登場させ、ほかのキャラ以上の印象を与えることに成功しています。キャラ紹介もまた徐々に盛り上げるインフレ効果を使っているわけです。ちなみに、アイナとの湖のシーンは、上記の情報を組み合わせている重層的な場面です。「アイナはアイナだ」と言われ、アイナが頬を赤らめる。アイナとガロの関係性が分かるほほえましい場面ですよね。その背景には、本能ないし欲望を刺激するという機能があり、だからこそ、自然と説明台詞も聞くことができると考えられます。簡単にまとめると、以下のようなプロットになっています。()の部分は、それぞれのシーンが持つ機能みたいなものとお考え下さい。疲れた……。『プロメア』の感想を書くのに、まるまる2日もかかってしまいました。けれど、それでも私が言いたいことは書ききれていません。とはいえ、いい加減に書き終えないと、キリがなくなってしまうので、このあたりで切り上げようと思います。また、創作活動にも取り組んでいます。小説や脚本を執筆し、新人賞へ応募し続ける日々を過ごしています。受賞歴としては、『シナリオS1グランプリ』で奨励賞を受賞したことがあります。ちなみに、近々小説を刊行する予定です。お楽しみに!「時間がない」ことにより、クレイの行動はどんどん強行的になっていき、ガロやリオとの対立が先鋭化していくわけです。時間制限によって人物は焦り始め、焦りによって対立も生まれやすくなります。デウス博士が開発したデウス・X・マキナにガロとリオは乗り込みます。この時点で、ガロとリオは真の敵であるクレイを止めることを決意しています。ちなみに、アイナとガロが凍った湖のうえでいい感じになるシーンでも□は描かれています。レンズゴーストの形が□で表現されています。BDを買ったら、時間のあるときに、チェックしてみてくださいね(笑)『プロメア』は、さらに人物の登場にも、インフレ効果を使っています。バーニングレスキューが駆けつけたときに、ルチア、バリス、レミー、イグニス、アイナ、ガロと、1人ずつ字幕付きで名前が紹介されていきます。『プロメア』を観ながら、その爽快感に酔いしれた人は大勢いるはず!それは、私たち観客にも向けられた言葉なのかもしれません。モヤモヤした怒りなのか情熱なのか分からない感情を抱えているけれど、発散する手立てがない、だから消化不良みたくイライラが募っていく。『プロメア』では、同じカットを連続させて、画面の熱量を上げる方法が用いられています。リオが怒りをあらわにし、龍の姿になってプロメポリスを襲撃する場面を思い出してください。弁証法とは、ご存じのとおり、ヘーゲル先生の開発した思考法みたいなもので、異なる考えのよい部分を融合させ新しい考えを作るというものです。テーゼとアンチテーゼから、それぞれ長所を抽出し、ジンテーゼという新たなアイディアないし考えを作るわけです。この出来事によって、ガロとクレイの対立は決定的なものとなります。また、ガロは知りませんが、バーニッシュ収容施設での過酷な現状を観客は目の当たりにしており、ガロ以上に観客はバーニッシュに対する同情を抱くようになっています。アイナといい感じになる湖のシーンのあと、ガロはバーニッシュの光を追って、とある洞窟に訪れます。ガロはそこで初めて、バーニッシュが悲惨な状況にあることを知ります。ちなみに、パルナッソス号はノアの箱舟をイメージしていますよね。しかも、ノアの箱舟は陸上が大洪水に飲まれてしまう話ですが、『プロメア』はその逆。炎に飲まれてしまうから逃れようとするのが『プロメア』です。このノアの箱舟を丁度ひっくり返したような発想も面白かったですね。リオは最後、笑っているプロメアの姿を見ていましたが、あれは、『プロメア』という映画を観ていた私たちの姿と重なります。私も創作者の端くれとして、「最後にデカい秘密を明かしてビックリさせよう……」とか考えたりしますけど、ここまで複数の秘密を提示し、定期的に驚かせる発想は持っていませんでした。語の後半、ドリルの装甲でガロがリオを救出しに向かう描写がありましたが、あのシーンも縦の動きでした。物語の序盤と終盤で上下に縦の動きを入れて、動きの幅を拡張させているわけです。ドリルという発想がなんとも『天元突破グレンラガン』ぽいのは笑えますけどね(笑)同時に、あの湖にはデウス博士の研究所が隠されていました。これにより、あの湖は感傷的な場面としての機能以外に、物語の重要な秘密が知れる場所にもなりました。「秘密の情報」も、あの湖にはあったわけです。「緩急がどうこう」と批判する向きもあるようですが、そういう小手先の技術では語れない魅力が『プロメア』にはあるわけで、頭で考えて観るタイプの作品ではなく、魂で感じるタイプのアニメなのだから、「うおー!!」と言っていれば、それでOKなのです。これは細かな話になりますが、『プロメア』は説明台詞がうまかったですね。どうしても、こういったファンタジー寄りの物語だと、その世界の説明を入れる必要があるのですが、『プロメア』はあまり説明を受けている感じがしませんでした。長文でしたが、ここまで読んでいただき誠にありがとうございました。って、そんな人いるのか?たぶんいない(笑)大学卒業後、ライターとして活動を開始。ライター歴3年の新米です。WEBライターとしてお仕事をさせていただいており、SEOに強い記事を書くのが得意。実際に検索順位1位を獲得した記事も複数あります。これは食欲の話ですが、『物語シリーズ』では、性欲を刺激することによって説明台詞を聞かせています。物語シリーズってやたらとお風呂のシーンが多いじゃないですか。お仕事のご依頼に関しましては、下記のメールフォームか、TwitterのDMにて承っております。WEBライティング、映画レビュー、ゲームのシナリオ、小説などに対応いたします。何卒よろしくお願い申し上げます!こうした複数の秘密を、1つずつ話の転換点に設置することにより、定期的に観客は「そうだったのか!」と驚かされます。3DCGと言えば、ハリウッド映画も含めて写実的なものが主流ですが、そのなかで上記でお話したような『プロメア』のポリゴン風の世界観は、非常に新鮮な印象を多くの観客に与えたと思います。『プロメア』のシナリオは、かなり王道。そこまで新奇性のある展開はありません。しかしながら、中島かずきの様々な技術や、斬新なアイディアが、その王道を機能させていることも事実です。ここでは、構成やアイディアの面で優れている点を紹介しようと思います。『プロメア』は、主に3種類の情報を駆使して、構成が組まれています。確実にBlu-rayは買うと思います。そこで、またガロやリオに会えるのが楽しみで仕方がないです!「ガロ・ティモス様だ!」と見得を切ったとき、少しの間、絵が止まります。ほかの見得を切るシーンも同様です。決め台詞や決めポーズで絵を止めると、その絵に力強さが宿るのだと考えられます。こちらのブログでは、自分の創作に活用するために、面白いと思った作品について、いろいろな気づきを書き残していこうと思っています。ポジティブなレビューを心がけ、読者の皆様が楽しんでいただけるよう最善を尽くします!ブログ開始から2ヶ月でようやく月間1万PV達成!最近コメントも増えてきて、非常にうれしい限りです。いつもコメントや☆を付けてくれる皆様、そして、Twitter等で私の記事を紹介してくれている方々、本当にいつもありがとうございます!今後も頑張ります!突然変異により炎を操る能力を手に入れたバーニッシュ。バーニッシュによって世界の半分が炎に飲まれた世界大炎上から30年後――。ほとんどのバーニッシュが逮捕されるなか、度々世間を騒がせている攻撃的な一団「マッドバーニッシュ」により、自治共和国プロメポリスは火災の被害にあっていた。各地で引き起こされるバーニッシュ火災に対応するために、司政官のクレイ・フォーサイトは高機動救命消防隊「バーニングレスキュー」を創設。ガロ・ティモスはバーニングレスキューに所属する新人隊員。その日も、バーニッシュによる火災警報を受け、出動するバーニングレスキューの一員たち。救助活動を進めるなか、マッドバーニッシュの一団に遭遇したガロは、消防戦闘強化服マトイテッカ―で戦闘を開始。マッドバーニッシュのボスであるリオ・フォーティアとの激しい闘いの結果、ガロはバーニングレスキューの面々と力を合わせ、リオを拘束することに成功する。しかし、マッドバーニッシュ逮捕後に、ガロは尊敬するクレイ・フォーサイトの抱える暗部を知ることになる。何が正義なのか悩みながらもガロは、真の敵を見据え、新たな敵に立ち向かっていく――。通常の滑らかな3DCGの場合、AからBへ動作が移るとき、AからBまでの動きを完全にトレースして描いています。だからこそ、途切れなく常に滑らかな動きを表現することができるわけです。では、どうのようにして、映像的快楽の最大値が実現されているのか?「バーニッシュの人体実験」、「パルナッソス計画」、「プロメアが宇宙生命体だったこと」、「クレイがガロを助けたのは成り行きだったこと」、「クレイがバーニッシュだったこと」、「プロメアは燃え足りない状態だということ」。自在なカメラワークも、映像的な快楽の最大化に大きく影響しています。みなさんも、冒頭のガロとリオの闘いから、奔放なカメラワークに驚かされたのではないでしょうか。これまで今石監督が培ってきた技術の総決算でありながら、革新性に満ちた映像だったこともあり、『プロメア』はどこまでも観ていて気持ちのいい作品になっていました。この視点が、秘密を作るときに重要だということが分かります。誰にとって驚きの事実なのかをしっかり把握し、その情報がどんな変化を生み出すのか理解することが大切なのです。弁証法で物語の構造を造りながら、同時に梵我一如の発想でプロメアとバーニッシュを定義づけている点も、私にとってはなかなか興味深いところでした。画面を回してから、人物の表情に寄せることで、人物の表情の凄味を強調したり、ロボ同士の戦闘シーンで下からあおるように映し、巨大さや強力さを表現したり、とにかく自由奔放なカメラワーク。とくに下からのあおりは多い印象でしたね。これ、プロメアとバーニッシュの関係に似ている気がしませんか?プロメアは地球のコアに住み着き、バーニッシュの精神状態とつながっています。バーニッシュが苦しめば、コアにいるプロメアも反応する。私が劇場で観ていた時も、両隣の観客が前のめりになっていました。実は私も私でいつの前にか、座席から背中を浮かしていました。スクリーンに吸い寄せられるように、食い入っていたのです。こんな作品、めったにありません。しかも、じゃあアニメ風のCGかと言えば、必ずしもそうではなく、いわゆるディズニーやピクサーで観られるような、絵の滑らかさを意図的に『プロメア』は抑えており、だからこそ、キレのある動作を描くことに成功しています。1つめの「緊急性を生む情報」ですが、これはある程度、検討がつくと思います。物語に緊迫感とスピード感を生むためには、何か緊急性のある情報を設ける必要があります。2つめに物語を動かしているのが「同情を生む情報」です。もし、ガロがバーニッシュの人体実験を知らないままだったら、話はどうなっていたでしょうか?おそらく、ガロはクレイと対立することもなかったはずです。面白い映画に共通することですが、必ずと言っていいほど、食事のシーンが出てきます。ハリーポッターであれ、千と千尋の神隠しであれ、食事のシーンは描かれています。日常から始まり、少しずつ話が大きくなっていく展開は、『天元突破グレンラガン』ぽい感じもしますし、あらゆるアニメのマナーでもあります。さまざまな要因が考えられます。ここでは、私が気づいた点について、その回答をいくつか提示しようと思います。