人間的であまりしゃべらない男 … 『盲剣楼奇譚』(島田荘司、文藝春秋、2019) ミステリ作家島田荘司の作品で、題名から盲人の侍が登場するのではという判断で読んでみた。 現代の犯罪小説と江戸時代の時代小説を巧みに組み合わせた作 … ところが今月からは島田荘司さんの「盲剣楼奇譚」が始まりました. 島田さんはドロドロした作品も多数ですが. 吉敷竹史シリーズ20年ぶりの新作長編登場! 吉敷刑事が見た美剣士の幽霊画の秘密とは? 江戸時代から続く金沢の芸者置屋・盲剣楼で、終戦直後の昭和二十年九月に血腥い大量惨殺事件が発生した。 10月3日こんばんは*和和(にこにこ)パステル*ささきさちこ です。 今日も爽やかな天気でした。明日からは雨模様に変わるというのがウソのような青空。週末は台風… 内容的には、非常に長い挿話が入っています。島田御大の挿話には秀逸なものが多いですが、これは挿話というより、もはや娯楽時代小説として見た方がよいでしょう。時代小説の前後に、商業的な考慮により付け足し程度に吉敷を出したと言われても仕方がないと思います。大筋にはまったく関係ないのですが、東大のラボで無名画家の絵の動きをロボットで再現することに挑戦するとか、とってつけたようなあまりに不自然な設定にはやや憤慨してしまいました。それならその道の達人の動きを、となる思いますけどね。あと、最後の方での、犯人に対する吉敷のある行動も、吉敷大丈夫か!? と言いたくなりましたね。久々の吉敷シリーズとして期待していましたが、吉敷のパートが少なく、ミステリ味もあまりありませんでした。ですので、肩すかしを食らった感じもありましたが、吉敷の娘が成長して登場していたり、通子と復縁していたりと、なんとも言えない感慨がありました。ささやかな疑問として、一度鮎乃進の本名らしき名前が出てきましたが、あれにはどんな意味があったのでしょう。あと、これは誰もが思ったと思うのですが、鮎乃進は火災の中からどうやって脱出したのでしょう。私は時代小説をあまり読んだことはないので、時代小説的にどうなのかはよくわかりませんが、とても楽しく読めました。主人公の鮎之進はとても魅力的でしたね。前半の紅葉村パートは「七人の侍」風でシリアスに映画化されたら面白いかもと思いましたし、後半のご城下パートは登場人物も良かったので、その設定を活かしてユーモラスに連続ドラマ化されたら面白いだろうなぁと思いながら読みました。最後の野武士たちとの対決も、無理すぎる設定で鮎乃進が超人的だとは思いましたが、わりと感動的でした。吉敷パートのラストも感動的ではありましたけどね。いずれにしろ、ミステリとしてではなく、娯楽小説として楽しめましたので★3つ半としました。 それも私の大好きな吉敷さん物です . 吉敷さんカッコいいんです.