難しい問題なので明確な答えはないのかもしれませんが、個人的には大人と子供の立場について考えさせられました。あの生徒達は森口先生の娘の事件や少年A・Bの行いを見ても反省することなく、これからも同じようなことを繰り返していくのでしょうね…。「ここで大人しく待っていてね」と言っても、興味のある方向に走り出してしまうような年齢の子供です。もし、そういった故意による事件が起こらなかったとしても、プールサイドに立って足を滑らせて落ちてしまった、保健室や化学室などで危険なものを飲んでしまった・触ってしまったなどの『事故』も起こりえたと思います。映画内ではたまたま生徒が娘を殺害していたために復讐という方向性にいきましたが、もし本当に事故で死亡していた場合は、森口先生は誰に復讐していたのでしょうか。2019年1月現在、森口先生のように職場への『子連れ出勤』を考えている方が増え、政府としても子連れ出勤への支援も検討しているようですが、もし実際に子連れ出勤が当たり前になった場合、こういった事件は現実世界でも増えていくのかもしれませんね。保育園・幼稚園に入園できない、頼れる人が身近にいない、金銭的な問題などのために職場に子供を連れて行かなければならない状況というのは致し方ないことなのかもしれませんが、正直難しい問題だと思っています。映画『告白』は本屋大賞を受賞した湊かなえさんのベストセラー小説を、『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』などの作品でしられる中島哲也監督が映画化した話題作です。「ショッキングな内容で賛否両論!」という謳い文句から期待していたのですが、個人的には少し残念な印象がありました。クラスメイト達は直接的に殺人に関与はしていませんが、きっかけや要因をつくっているのは生徒達ですよね。そういった点にはリアリティと、人間らしい気持ち悪さを感じました。また、北原美月が人殺しである少年Aを『イジメなかった』ためにイジメに巻き込まれているのですが、そのときにクラスの女生徒が言った「森口先生が可哀想だと思わないの?」がとても印象に残りましたね。今までは何とも思っていなかった、何だったら森口先生が教師を辞めると言った時には喜んで騒いでいたような人々が、都合の良いときだけ森口先生が可哀想と言う姿は、気持ち悪さを感じましたがリアリティがありました。教師は自分なりの信念を持って生徒達に接していくのですが、生徒達にその想いは伝わらずに空回る部分も多く、それに対して生徒達は先生をからかったり反抗的な態度を取るばかり。そしてその生徒達の親は、自分の子供が何をしても「悪い友達に騙されたんでしょう」「この子が可哀想…」と自分の子供をかばうばかりで、子供の行った悪いことは全て他の生徒や教師のせいにしています。例えば、少年Aは森口先生の娘を殺害したことをクラス全員に知られてしまったために、クラス内でイジメにあっていました。そのことがきっかけで関係なかったはずの北原美月まで巻き込まれることになってしまい、最終的には少年Aに殺害されてしまいます。中学生という設定上、見た目に遊び心もなく顔も似たり寄ったりで正直区別がつきませんし、キャラクターの性格や内面にも引き込まれる部分はありませんでした。年齢的なものでどうしても大人側の方が共感しやすいためかもしれませんが、あまりにも印象に残らならいため、ミステリー作品として楽しむ邪魔になっています。普通の子供が大それたことをする、くだらないことで犯罪を犯すということを表現したかったのかもしれませんが、もう少しキャラクターの『区別』は欲しかったです。燃え落ちた母の研究室の前に立ち、時間が逆流する時計を持ったことで空間の時間が巻き戻り、爆発する前の研究室に戻ります。そこには自分の写真が載った新聞の切り抜きを見て、微笑みながら涙する母の姿。しかし、無情にも時の流れは元に戻り、爆発に巻き込まれた母の悲鳴と共に現実に引き戻されてしまいました。ただ、森口先生の復讐の仕方には共感できたので、そちらにフォーカスすれば満足のいく作品だったかなとは思います。この映画の感想では「怖い」「グロイ」といったコメントが多かったのですが、個人的には怖さやグロさは全く感じませんでした。ただ、復讐に走る森口先生の手の平で踊らされてずっと騒ぎ立てる生徒たちは気持ち悪いです。映画内では森口先生の娘を殺害した少年A・Bだけでなく、『他のクラスメイト達』の動きも復讐のために重要となるため、余計に気持ち悪さを感じるのかもしれません。HIVの血液を混ぜようとしたことも、結局は桜宮先生に阻止されてしまったために実現してはいませんが、少年A・Bはそのことを知りません。少年Aは医師の元で検査を受けること『陰性』と知ることが出来ましたが、少年Bはそれすらもしなかったために自分がHIVに感染していると思い込んでいます。感染すると思い込むあまり部屋に閉じこもり、自分の使用後の物や血液に異様に反応するようになってしましました。この映画では善悪の区別もつかないような子供が集まる中学校に、さらに弱く幼い子供を連れてきてしまったことで、親である森口先生が復讐に走る結果になってしまいました。映画内では死亡という最悪の事態が起こってしまっているので、あまり身近に感じないかもしれませんが、生徒達によるイタズラや事件の可能性は十分に考えられたのではないでしょうか。少年Aは生徒達によるイジメにも家庭環境についても気丈に振る舞い、自分の命すらも軽く見ていました。そんな少年Aに対する復讐は、幼い頃に両親が離婚してから会っていない大好きな母親を殺害させること。母親の再婚を知って自暴自棄になって自殺を図っている少年Aの爆弾を回収してAの母親の研究室に持っていき、Aが爆弾のスイッチを押すことで母親の研究室が爆発するようにしていました。この映画が公開されたのが2010年で、能年玲奈さんがブレイクするきっかけとなる『あまちゃん』が放送開始されたのがこの3年後の2013年なので、このときはブレイク前だったためにちょい役出演だったようですね。年齢が近い点や立場から、個人的にはどうしても教師に対して同情的になってしまいますが、果たして誰が悪いのでしょうか?そのことを最後の最後に『告白』し、少年Aに大きな絶望を与えることが出来ました。この「なーんてね」の一言があることで、お涙展開にならずにどす黒い感情のまま物語が終了しているので、個人的にはこの解釈の方が納得がいきます。これで、森口先生による殺害、逮捕よりも残酷で長く続く復讐の完了です。彼らはこれから一生、自分の犯した罪の重さや1人の悲しみを感じて生きていくことでしょう。森口先生のように…。個人的には教師や親などの大人にだけ注目した映画にするか、子供達の設定を高校生に引き上げて、性格や見た目に違いを持たせて欲しかったです。テーマや内容自体は今観ても遜色なく楽しめるものなのに、中学生達のキャラクターのために楽しみきれない部分があったのが残念でした。主人公となる森口先生は復讐心から行動が一貫していて問題ないのですが、その対となるはずの生徒達のキャラクターが弱いせいか、驚きの展開も結末のインパクトもなかったです。最終的に犯人を追い詰めることができたという点で、森口先生の復讐は果たすことが出来たのですが、その結末に向けての流れに『復讐』に燃える狂気染みたものは感じませんでした。気付かなかった!という方は、ぜひ見返して確認してみてください。ここの解釈は人によって異なり、母親の研究室に爆弾を持って行ったのが嘘と考える人もいますが、個人的には「更生なんて望んでいない」「更生なんて始まらない」という意味だったのだと考えております。直前に言った言葉に対して「なーんてね」と言っていることを考えると、「あなたの更生の第一歩が始まる」が嘘ということになるので、「これはあくまでも私にとっての復讐であってお前の更生なんて望んでいない」という意味になるのか、「少年院に入るたった数年の刑期で、母親を殺した罪を自分が許せるわけないだろ」という意味なのだと思います。森口先生は幼い娘を自分が受け持つクラスの生徒に殺されたと知った後も、マスコミや警察に言うことも、すぐに犯人を殺害することもしませんでした。それは自分の手で犯人に長い苦しみを与えるためだったと考えられます。登場人物が入れ替わるたびに「これは誰だろう」「これとこれは同一人物だっけ?」とあやふやになってしまったので、物語を楽しむ邪魔になりました…。もちろん全ての学校・教師・子供・親がこうだというわけではありませんが、この映画を観ていると2019年1月に東京・町田の高校で起こった、高校教師による生徒への暴行・その姿を撮影した『高校教師挑発動画』のことを思い出しました。この動画では教師が生徒に対して暴行を行ったということだけでなく、「Twitterで炎上させようぜ!」と言って動画を撮影していた生徒、先生をわざと挑発するような言動をくり返している暴行を受けた生徒のことが問題となっています。映画を観る者としては、やはり物語の中心となる人物にはインパクトや特徴的な部分、魅力になる部分が欲しいのですが、生徒達にはそれがありませんでした。森口先生やウェルテル、Bの母はキャラクターが立って魅力や共感できる部分があったのですが、少年A・B、その他の生徒たちはぼんやりとした印象しかありません。個人的には複数人が自分の罪について告白していくというストーリーから、好きな『暗黒女子』という映画に似ているのかなと期待していたのですが、テーマは似ていても内容の方向性は違いました。もしかしたら中学生という年齢的な点、『少年』という性別的な点から、自分には共感しにくい部分があったのかもしれません。告白は9年前に公開された映画とは思えないくらい、現代社会で問題となっているテーマを的確に指摘していて、その問題について考えさせられるような映画になっています。ただ、物語の主軸となるはずの生徒達のキャラクターに魅力がなかったり、ミステリー作品としてのインパクトが弱いためか、個人的には少し不満の残る映画でした。思い込みの激しい中学生が見る妄想という設定にするのならば、SF展開に持って行かずに『自分に微笑みかけてくれる母が苦しみながら炎に包まれる』というだけでも済んだのではないでしょうか。タイムリープのようなシーンを加える必要性は感じませんでした。その後も生徒達による嫌がらせや、森口先生が差し向けたウェルテルの家庭訪問の猛攻にあい、精神的におかしくなってしまいます。最後は自分のことを愛し支え続けてくれた母親に刃物を向けられたために、反対に母親を殺害して警察に逮捕されてしまいました。この映画のキャスト一覧には『能年玲奈』さんの名前があります。ファンの間でも知らない方がいらっしゃるみたいで、どこ!?と探した方も多いのではないでしょうか。映画を観返して確認してみたのですが発見することができなかったため調べてみると、メインキャストではなく映画序盤の牛乳を飲んでいるシーンでちらっと映る『エキストラのような1生徒役』として出演しているそうです。現代社会でも問題になるようなテーマを的確に指摘している点は良いのですが、肝心のミステリー作品としては弱いと感じました。あれは真剣にやっているのでしょうか、笑いどころだったのでしょうか。シュールというかただただ謎でしたね。ただ、こういった問題について考えたり、悩んで何か答えを出そうとすることが大切なのだと思っています。「なーんてね」は少年Aが嘘をついた後に言う口癖のようなもので、森口先生に娘を殺したことを問い詰められている時に飛び降りるような動作をした後や、始業式で「命は大切」と作文を読み上げた後にも「なーんてね」と言っています。このことから、森口先生は少年Aの真似をして『何か嘘をついている』ということが分かります。春休み前の終業式の日、「私の娘はこのクラスの誰かに殺された」と告白を始めるクラス担任の森口悠子。自分の娘について、自分や娘の父親にあたる人物について、そして娘を殺した犯人について、怒るでも悲しむでもなく淡々と話を進めていきます。もし子連れ出勤が当たり前になったとしたら、その代わりに子連れ出勤反対派の人が退職に追い込まれてしまったり、映画のように何か事件を起こす可能性も出かねません。個人的にはグロさは感じないと申し上げましたが、直接的な描写がないものの殺害シーンや血が飛び散るシーンなどは多いので、そういったのが苦手な方には不向きかもしれません。ご視聴の際にはご注意ください。例え警察に訴えたとしても証拠がないと信じてもらえないかもしれませんし、もし捕まっても少年院に入り、少しの不自由があるだけで衣食住の揃った快適な生活を数年送るだけで社会的に罪が許されてしまいます。そして、その犯人を自分の手で殺害したとしてもその人間の生が終わるだけ。苦しみも復讐も一瞬で終わってしまいます。彼女はそんなの許せなかったのです。できるだけ長く生かし、犯人にとって最大の弱みを突くことを考え、今回の復讐を実行したのでしょう。『告白』の内容はこの事件とよく似ていて、「少年法があるから」「自分は悪くないから」と自分より幼い子供を殺害する生徒達、私情を挟んで復讐に走ってしまう教師、真相を知らずに自分の子供をかばい教師を非難する親。映画内では殺人が絡んでいたりするため全てが一緒というわけではありませんが、登場人物達と関係性は酷似しています。ストーリーや結末のネタバレを含みますので、ネタバレを避けたい方や映画視聴前の方はご注意ください。この映画ではこういった9年前の映画とは思えないぐらいタイムリーな内容や事件が多く、そういった点を改めて考えさせられるような映画でした。この映画では教師と生徒達、その親が物語の主軸となるはずなのに、肝心の生徒達のキャラクターに魅力を感じませんでした。今回はそんな映画「告白」についての感想・解説・考察をご紹介していきます。そもそも、幼い娘を職場である学校に連れてきたことに疑問があります。告白では犯行を行った動機、背景は全て本人たちが告白してしまっているので、考察する余地は多くはありませんが、エンディングの「なーんてね」というセリフ含め森口先生の心理については考察する余地があったのでそちらをご紹介していきます。この映画は基本的には教師とクラスの生徒達、そしてその親を主軸に話が進んでいきます。復讐の仕方やテーマ自体は好みのテイストだったので、できれば設定を変えてリメイクしてほしいと思う作品です。「子育ては助け合い」「あなたも子供の頃はあったでしょう」という意見は多くあるのですが、どうしても子供を受けつけない方や苦手な方というのはいます。子供の泣き声や笑い声が気になって精神面、体調が悪くなってしまう方、動き回る子供で集中できないという方、おむつやおもらしなどのニオイが気になってしまう方など、そういった子供が苦手な方のことを考えると、子連れ出勤ウェルカムな現状は喜ばしくない状況ですよね。最初からタイムリープ設定のあるSF作品ならお涙頂戴ものだったのかもしれませんが、何の脈略もなくそんなSF展開に持っていかれても、観ている側としては「どうしたの?」としか言いようがありませんでした。せっかく森口先生が自分の娘を殺した犯人を追い詰め、自分よりも大切だった母を殺害することでダメージを与えているシーンなのに、あのSF展開のせいで台無しです。ちなみに、物語の主人公となる森口先生の娘・森口愛美は、大人気子役の『芦田愛菜』ちゃんが演じています。竹中さんの家にいるムクにエサをあげている姿は、なんとも子供らしくほっこりする一面でしたね。ただこれはあくまでも私個人の意見です。『賛否両論!』という謳い文句があるように、個人によって感じ方は変わりやすい作品になっているので、気になる方はぜひ視聴してみて自分なりの考えを感じてみてください!そう思うと、個人的には子供を職場に連れてくるというのには反対です。子連れ出勤を推進するよりも託児所の整備や人員確保、教育への支援、子供を持つ人に対する支援などがあった方が良いのではないでしょうか。これも町田での動画騒動と同じように難しい問題で、賛成派・反対派で明確な答えや意思を共有するのは難しいことです。少年Aが自分の爆弾で母が死んでしまったことを知って泣き崩れている時、森口先生が近寄り涙を流しながら「ここから、あなたの更生の第一歩が始まる」と言っていますが、その後に笑いながら「なーんてね」とも言っています。ただ、タイムリープ映像自体はキレイだったので、あれはSF映画で観たかったです…。また、森口先生は『犯人に自分の手で家族を殺させる』ことにこだわっているように感じました。そのことを考えると、森口先生は娘が死んだのは自分のせいと思っている節があるのかもしれませんね。自分が目を離したから…と。だから、自分と同じように犯人の手で大切な家族を失わせたかったのだと考えられます。この事件については、もちろん子供に対して大人が暴力をふるうというのはあってはならないことですが、「自分に手は出せないだろう」「手を出したらお前はクビになるぞ」と言わんばかりに大人に対して挑発する子供も悪いと個人的には思っております。ネット上でも教師に対して同情的な意見も見られます。あくまでも個人的な考察・解説なので、人によっては違った解釈に至るかもしれません。こういった見方もあるんだな程度に、一意見としてみて頂ければ幸いです。ストーリーが進むにつれて娘を殺された森口先生の想い、犯人達の想いに迫っていき、人間の心理や背景を推理していく学園ミステリー映画です。もう1人の犯人である少年Bには寄せ書きを渡しており、一見すると励ますような内容が書かれたものに見えますが、それには『人殺し死ね』というメッセージが隠れています。それに気づいてしまった少年Bの母は絶叫し、Bの母がBを殺そうとする原因になったのだと感じました。物語のクライマックスで少年Aが学校に仕掛けた爆弾を森口先生がこっそりと回収し、その爆弾をAの母の元に持って行ったという展開があるのですが、その時に突然始まるタイムリープを思わせるSF展開がとても謎でした。テーマや復讐の仕方などのストーリーの流れは好きだったのですが、個人的には『中学生』というキャラクターや設定に少し不満がありました。たくさんある設定や要素を詰め込んだ割にはキャラクターの魅了やインパクトが負けていて、どうしてもモヤモヤする部分が残ってしまい残念でした。できれば、次はキャラクター達の年齢を高校生あたりに引き上げて、作品をリニューアルしてほしいなと思います。