2019年4月よりnhk bsプレミアムで再放送された『おしん』が大きな話題となった令和元年。まさに「おしんドローム」が再来したかのような様相となりました。そして、青春期などを熱演された田中裕子さんのパフォーマンスに改めて大きな注目が集まり 橋田ファミリーでもある東てる美さんが田中裕子さんを「裕子ちゃん」と呼んで好意的に語られたのが個人的に嬉しい。田中裕子さんの場合、橋田壽賀子先生の脚本を「こういうものか」と受容的になれなかった感じでしょうか。というのも、渡鬼ファミリーの役者さんの場合、長台詞に苦労しつつも「こういうものか」と橋田壽賀子先生の脚本に受容的な印象。っていうか、ある意味であきらめの境地なのかもしれませんが(笑)東:橋田先生の脚本は、〝てにをは〟一つ間違えると、台詞が出てこなくなる。他の脚本だと、台詞を少し間違えても、意味を変えることなく調整していくことができるんですけどね。橋田作品だとこの〝言い戻し〟が絶対できない。それだけ、一つの台詞の構成がしっかりしてるということなのでしょう。だからアドリブを入れる余地もありません。当時、いろいろと葛藤があったにせよ、橋田壽賀子先生の脚本と必死に向き合って「おしん」を何とか演じきったことで、田中裕子さんは視聴者だけでなく共演者をも魅了していたことがよくわかる対談でもありました。ということで、並樹史朗さんは一貫して田中裕子さんの心情を代弁されていた印象。こういったことも要因になったのか、田中裕子さんが演技中に気を失って病院に搬送されたお話が並樹史朗さんからありましたが。それって非常に心身ともに追い詰められていた証。それでも1か月の休止を経て再び撮影に挑まれた田中裕子さんって只々すごいとしか言いようがない。並樹:裕子さんのその後の活躍は言うに及ばずで、『おしん』を抜きにしても、十分に女優としての地位を確立しています。それでもまだ『おしん』の呪縛と戦い続けているように見えるほど、彼女にとって運命的な作品だったのだと思います。並樹:当然そうでしょうね。僕の見立てでは、裕子さんは当時の現場の状況に半分も納得してなかっただろうと思う。それでも、不満を飲み込み、上手く笑顔や涙、困り顔など演技につなげていた。そのような中、竜三役だった並樹史朗さん、加代役だった東てる美さん、そしてフリーライターの木俣冬さんが週刊現代の「『おしん』の田中裕子を語ろう」で対談されました。この企画は何とも興味深い。もしかすると、田中裕子さんは『おしん』に関して否定も肯定もできない状態が続いているのかもしれませんね。あくまでも想像の域ですが。ということで、2019年6月15日号の週刊現代「『おしん』の田中裕子を語ろう」についてご紹介したいと思います。東:休憩中に、裕子ちゃんとご飯を食べに行っても、会話も何もなく、二人とも食べながら黙々と台本を読んでる、ってことがよくありましたね。そんな名優・田中裕子さんを作者の橋田壽賀子先生はやはり称賛されました。ドラマや映画のルポルタージュやレビューなど、フリーライターとして幅広く活躍されているようです。ここでは「『おしん』の田中裕子を語ろう」に参加された並樹史朗さん、東てる美さん、木俣冬さんの公式情報などをご紹介します。ディープ・ピープルとして対談された並樹史朗さん、東てる美さん、木俣冬さんからは、おしんを熱演された田中裕子さんへの愛情が何だかひしひしと伝わってきました。2019年4月よりNHK BSプレミアムで再放送された『おしん』が大きな話題となった令和元年。まさに「おしんドローム」が再来したかのような様相となりました。そして、青春期などを熱演された田中裕子さんのパフォーマンスに改めて大きな注目が集まりました。橋田壽賀子先生の脚本が難しい所以を語られた東てる美さん。流石というか、論理的で素晴らしい解説です。田中裕子さん、やっぱり『おしん』の主演は本当にきつかったようです。何と言っても脚本が橋田壽賀子先生ということで。田中裕子さんも並樹史朗さんも、元々は文学座に所属されていた役者さん。TBS「橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり」出演者・関係者の誕生日について、生まれ月ごとに一覧をこしらえてまとめましたのでご紹介します。橋田壽賀子ドラマの長台詞は有名な話ですが。当時のお二人は毎日が試験勉強だった様相。特に、田中裕子さんの場合、主演だからなおさら過酷な毎日を過ごされていたのでしょうね。2019年6月15日号の週刊現代「『おしん』の田中裕子を語ろう」については、現代ビジネス公式サイトの記事で閲覧することができます。「田中おしん」の仕上がりは、不満を何とかパフォーマンスにつなげ通した田中裕子さんの真骨頂にほかならない。『おしん』の後、田中裕子さんは橋田壽賀子ドラマから離れて大女優の地位を着実に築かれました。一方、東てる美さんは、渡鬼などの橋田壽賀子ドラマにその後もご出演されて国民的人気女優の地位を確立されました。「田中おしん」のパフォーマンスが非常に素晴らしいのは、橋田壽賀子先生の脚本が大きな試練を与えていたからこそ醸し出された結果であると個人的に悟った次第です。田中裕子さんが演じきった「おしん」には、やはり逆境に耐え忍びながら演じきった美学が表現されているように思えます。『おしん』で田中裕子さんと共演された並樹史朗さんと東てる美さん。このお二人は『おしん』の田中裕子さんをどのような視点で捉えているのでしょうか。田中裕子さんご本人としては、脚本に則ったことで、ご自身が本当に魅せたかったパフォーマンスを封印せざるを得なかったことへの後悔があるのかも。私は裕子ちゃんのラストシーンの撮影現場に行き、「おつかれさま」と言ってお花を渡しました。撮影中はまったく弱みを見せなかった裕子ちゃんが涙を流していたのを覚えています。田中裕子さんが『おしん』の主演を貫き通したことで、大女優としての地位が盤石になったものと客観的に判断できそうですが。木俣:橋田作品は、キャラクターががっちり固まってますが、田中さんご本人はもう少し自由に演技されたかったのかな、と。お二人は『おしん』の共演者で言わば戦友なんでしょうね。率直にお二人の共演をまた観てみたいものです。令和元年に「おしん症候群」が再来したということで話題性は抜群ですから。並樹:裕子さんに『台詞(覚えるのが)大変っすよ』って言ったら、『並樹くん、こんなにキツい仕事はそうないから』と慰めてもらいました。出典:週刊現代2019年6月15日号「『おしん』の田中裕子を語ろう」P141出典:週刊現代2019年6月15日号「『おしん』の田中裕子を語ろう」P140出典:週刊現代2019年6月15日号「『おしん』の田中裕子を語ろう」P142