日本語で「美しい」「きれい」と感じる場面があったら、美しい・きれい以外の表現でどう形容できるか練習してみましょう。単に「美しい」と述べるだけなら、ことさら言葉をひねらなくても beautiful と言えば穏当に通じるというわけです。handsome はもっぱら男性の(男性的な)美しい目鼻立ち、男らしい精悍さを形容する表現です。女性を handsome と形容する場合もありますが、これは「貫禄がある」「強靭である」といったニュアンスが中心で、容姿の美しさを褒める意味合いはありません。美しいと感じた部分は、性格の実直さ(honest)なのか、あるいは、一連の行動の壮烈で悲壮な感じ(heroic)なのか、劇的な感じ(dramatic)なのか。のどかな天気。澄み渡った青空。凪いだ海。あるいは、落ち着いた暮らし、安らかな毎日。「穏やかで平和」「平穏」というニュアンスなら幅広く使えます。sensual は sense から派生した形容詞です。ちなみに sensitive、 sensible も、同じく sense から派生した形容詞。混同しないよう注意しましょう。わりと非日常的な難しい形容詞や英語表現を好んで使うと、かえって趣旨が伝わらなかったり、衒学的な(知識をひけらかすような)印象を与えてしまったりする、という点も危ぶまれます。もちろん「slender and graceful」のように述べれば同じ趣旨が表現できます。言い換えはできるだけ平易な語彙に直した方が、英語の表現力に役立ちます。「楚々とした」とか「眉目秀麗」といった語彙で言い換えても英訳語がなかなかありません。(それでも日本語の語彙力醸成にはつながるので無駄ということは全然ありませんが)奇妙な感じもあるけれど、その奇妙さも趣として肯定的に評価できるさま。お伽噺に出てきそうな造りの建物などを形容する表現として多用される向きがあります。「美しい」という概念を「魅力的」とか「すごい」とか「素晴らしい」「かわいい」というようなホメ言葉に置き換えるだけでも、状況は大きく変わります。主観的で漠然とした表現ではありますが、評価対象を明示しつつ述べるなら発言の趣旨は十分に伝わります。melodious は「音色の美しさ」や「音楽的な(美しさ)」という意味でも用いられます。melodious voice といえば「いい声」。発音は /niːt/ 。ニート。あっちのニートの綴りは NEETです。sculptured  は男女問わず使える表現です。男性的に sculptured な肉体は、くっきりと隆起した強靱さを感じさせる肉体。たとえばダビデ像やラオコーン像のような。女性的な姿は多分きっとミロのヴィーナスのような。美しさの種類や傾向を表現することに固執しないのであれば、「美しい」と形容する表現は beautiful に固定してしまって、その度合い・程度を副詞で表現してみる方法も使えます。美しさを表現できる言い方はもちろん beautiful だけではありません。他の表現を使って、美しいさまを伝達することは十分に可能です。表現の語彙レベルをあえて落とすことも手です。平明な表現に言い換える工夫は、英会話スキルの向上にもきっと役立ちます。英会話で使われる表現にも、《日常会話レベルの語彙》とか《文献レベルの語彙》というような判定基準があります。発想力の錬磨は英語でなく日本語でも可能です。柔軟な思考で言葉を練る練習を積んでみてはいかがでしょうか。うかつに人の容姿(特に女性の身体的特徴)に言及すると、不快感を与えてしまう可能性があります。性的なニュアンスをはらんだ下品なナンパと思われるかも知れません。人を褒める表現として、相手に向かって beautiful という語を使うことは、実際にはあまりありません。well-built は建築物の形容にも用いられて「しっかりとした造り」という意味を示します。人の肉体を形容する場合には、よく鍛えられた肉体というニュアンスが表現できます。sophisticated もやや皮肉めいた意味合いを込めて用いられる向きの強い言い方と言えるかも知れません。「凝った」「インテリ向けの」という意味合いを込めて用いられることがあります。good-looking は男女を問わずに使えます。男性のカッコイイ容姿も、女性の見目麗しさも表現できます。美男美女と表現する際にはいちばん使いやすい表現と言えるでしょう。どのように魅力的か、という要素は、あまり具体的に言及しない方がよい、という側面もあります。《ほっそりして魅力的》と述べるよりは、単に《魅力的》とだけ述べておいた方が、語弊もなくて無難だったりします。探査機「はやぶさ」が大気圏に再突入して散っていったあの姿は「美しい」以外にどう形容できるだろうか?対応する表現はあるといえばあります。使うかどうかはまた別問題として捉えておきましょう。zaftig はアメリカ英語のスラングです。面と向かって本人に伝える種類の言葉ではないので注意しましょう。What を用いる場合は「What+(a, an)形容詞+名詞+S+V!」の形を、 How を用いる場合は「How+形容詞(副詞)+S+V!」の形を取ります。beautiful のような表現について、うまい言い換え表現を駆使するには、単に英語の語彙力を育てるだけでなく、表現や視点を転換する発想力が求められます。fair は肯定的な意味合いのあらゆる評価に使える表現です。昨今では、女性の美しさを形容する意味合いでは使われず、「麗しい」くらいの古めかしさを感じさせます。かえって雅びなニュアンスが演出できるかもしれません。ただし、あくまでも外見に着眼した言い方なので、話の脈絡によっては「内面をないがしろにしている」「人柄を評価していない」と受け取られて心証を損ねる場合があるという点に留意しておきましょう。日本人が日本語文章をベースに英語表現を組み立てようと試みる場合、この手の発想の転換ができずアタフタしてしまいます。描写を諦めて自己表現に徹するという観点はわりといろんな場面で役立ちます。ただし、この領域は単に英語の語彙力があればよいというものではありません。自分が感銘を受けた「美しさ」を咀嚼して言葉に落とし込む言語感覚・言語センスが問われます。美しい物事の美しさを beautiful 以外の語彙で表現しようとすると、どうしても、ちょっと凝った表現を模索しなくてはいけません。少なくとも、beautifulの同義語表現と考えている限りは。ほっそり系ではなくて、出るとこ出てて引っ込むところは引っ込んでるような豊満さ、そういう種類のナイスバティーを表現する語です。官能的なオトナの女というイメージを色濃く含みます。さんざん「美しい」の代替表現として使える形容詞を紹介しといて何ですが、べつに形容詞を使って形容しなくても趣旨を伝えることはできます。lovely はニュアンスとしては「素敵」に近く、人だけでなく事物にも使用できます。 pretty は美しさを兼ね備えたかわいらしさであり、女性や、女性に関連した物に対して使われる形容詞です。目に見えない抽象的な美しさを、どのように美しいのか具体的に述べる場合、美しさの質を分析してかみ砕いた表現に言い換える工夫が必要です。beautiful じゃ何だか物足りない、もっと上手く表現したい、といった欲を感じ始めたら、もっと伝わる雅趣のある上手な表現を探してみましょう。