名誉毀損(めいよきそん)とは、他人の名誉を傷つける犯罪で、民事事件としての名誉毀損と、刑事罰としての名誉棄損罪があります。今回は名誉毀損罪で逮捕される構成要件と、逮捕された場合の対処法を … 万引きが冤罪だったとき、相手から慰謝料をとることは可能なのでしょうか。 また、魔がさして本当に万引き行為をしてしまいお店側と示談する際、慰謝料の相場はいくらでしょうか。 今回は「 万引きの慰謝料 」についてじっくり見ていきたいと思います! 言葉としてはよく聞く名誉毀損ですが、慰謝料としてはどのくらいの額が認められているのでしょうか? 従来100万円が限度とされた名誉毀損の慰謝料が、近年400万円・500万円が一つの基準となり、高額化する傾向があるようです(升田純「名誉毀損と名誉の値段の近時の動向」nbl no.914-2009.10.1)。 SNSなどへの投稿であっても、それが不特定多数に見られる可能性のある設定になっていれば、やはり伝播可能性があるので名誉毀損罪が成立します。結果として、その告訴状には殺人罪などの疑いをかけることができるだけの客観的な根拠がないとして、ブログ掲載者に対し、150万円の慰謝料(その他に弁護士費用として15万円)の支払い命令が出ました(平成23年1月14日 長野地方裁判所上田支部)。「裁判」というと、どのようなものを思い浮かべるでしょうか? 自分が「原告」となって相手を訴える裁判でしょうか? それとも検察官が犯罪者(容疑者、被告人)を訴える裁判でしょうか? 実は上記の2つの裁判は ...これに対して、メールでの誹謗中傷行為の場合には、少し事情が異なります。この事案では、告訴された人が、根拠のない誹謗中傷であるとして掲載者を訴えました。名誉毀損罪が成立するためには「公然と」の要件が必要ですが、ネット上やメールでの誹謗中傷行為についても「公然と」と言えるのかが問題です。まず芸能人のスキャンダルは「公共の利害に関する事実」ではありませんし、芸能人は当然「公務員」ではなく普通の民間人です。つまり、ネット上に投稿した場合には、ほとんどどのようなケースでも「公然と」の要件が満たされて名誉毀損罪が成立する可能性があるということなので、ネット上の投稿行為には、充分注意が必要です。たとえ少人数が集まる場所での発言であっても、そこにいた人の口から伝わって話が広がる可能性があれば、「公然と」の要件を満たします。芸能人は人気商売であり、誹謗中傷を理由に加害者である一般人を刑事告訴してトラブルになったとなると、さらに騒ぎが大きくなってイメージが低下してしまうおそれがあります。これは、対象が一般人の事案ではあっても、殺人罪という重大な事実を摘示されたことによる社会への影響の大きさを考慮して、慰謝料が多額になっているものと考えられます。民事上の名誉毀損(民法710条)が成立する場合にはもちろんのこと、侮辱的な行為をされた場合であってもそれが度を超えたものなら、慰謝料請求ができる可能性があります。実際、侮辱行為が行われただけで不法行為となり慰謝料が認められること自体が、さほど多くはありません。この事案では、たとえ対象を匿名にしていても、事情を総合的に判断すると、対象者の特定が可能であると判断されて、総額440万円(うち40万円は弁護士費用)(その他にインターネット掲示板の管理者に対して、プロバイダ責任法に基づく書き込みの削除義務違反の不法行為を理由に165万円(うち15万円は弁護士費用))の支払い命令が出ました(平成18年11月7日 東京地裁)。1対1で言い合いをしているときに、相手から社会的評価を低下させるような事実の摘示を含む発言があった場合、名誉毀損罪が成立することはあるのでしょうか?ただし、摘示された事実が重大であったり、被害者が自殺してしまったりして結果が重大になっていたりすると、相手が一般人であっても数百万円単位の多額の慰謝料が認められるケースもあります。そこで今回は、まず侮辱罪と名誉毀損罪の違いについて解説します。名誉毀損罪は親告罪なので、被害者による刑事告訴がない限り加害者は処罰されません。名誉毀損行為を受けて、その相手に刑罰を与えてほしいなら、必ず刑事告訴をする必要があります。この場合の判断基準も名誉毀損罪のケースと同じになるので、ネット上の投稿行為の場合には基本的に侮辱罪が成立することになります。名誉毀損や侮辱的行為の法律上の問題として民事的な側面と刑事的な側面がありますが、その意味や効果の違いについても一般的にはよく理解されていないことが多いので、おさえておく必要があります。逆に、ただの一般人の名誉を毀損する内容であれば、たとえその内容が真実であっても「公共の利害に関する事実」「専ら公益目的」の要件を満たさないので、名誉毀損が成立するでしょう。つまり、相手が名誉毀損的な行為や侮辱的な行為に及んだとしても、被害者が警察や検察官に刑事告訴をしない限り、警察などの捜査機関は相手を逮捕してくれませんし、起訴することもない、ということです。侮辱罪の場合でも、基本的な考え方は名誉毀損罪のケースと同じです。完全に相手と自分しかいない状況で侮辱されたとしても、その内容が他に広がっていく可能性はないので侮辱罪は成立しません。「これくらい大丈夫だろう」などと考えることなく、常に自分の言動には責任をもって対処することが必要です。芸能人や政治家などが被害者のケースでは、数百万円レベルの慰謝料が認められることもあります。ネット上における記事投稿やメール送信は、相手の顔が見えないこともあって比較的容易に行き過ぎた発言をしやすいです。しかし実際に、法的な考え方によると芸能人に対するゴシップや悪質な誹謗中傷は名誉毀損になりますし、あまりに悪質な場合には出版社や新聞社が訴えられている事例もあります。政治家などの「公人」や「公務員」が相手の場合、通常人相手よりも名誉毀損に「なりにくい」だけで「名誉毀損が成立しない」わけではないので注意が必要です。ここでは、名誉毀損(不法行為)が成立するとして、30万円の慰謝料が認められました(平成15年9月12日 名古屋地方裁判所)。真実性の証明ができなかったとしても、名誉毀損が成立しない可能性があるのかということです。よって芸能人の場合には政治家と異なり、名誉毀損罪の違法性を阻却するための刑法230条の2は適用されません。それは、名誉毀損は「事実を摘示」するものなので、「事実が公共性を持つか」や「真実かどうか」などを考慮できますが、侮辱罪の場合には、事実を摘示しない単なる侮辱行為なので、それが公共の利害にかかわるかとか、真実かどうかということはまったく問題にしようがないからです。これは、侮辱罪の違法性は名誉毀損罪よりも小さいと考えられていることによります。これらはどちらも「相手に対して悪口を言った」場合に成立するイメージがありますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか?少人数の友人だけしか見られない設定であったとしても、それを見た友人の口や友人の書き込みを通じて周囲に広がっていく可能性がある以上、やはり伝播可能性があるとして「公然と」の要件が満たされます。ただし、相手が芸能人や政治家で社会に与えるインパクトが大きなケースや、誹謗中傷内容が重大で被害者が自殺してしまったケースなどでは、数百万円の多額の慰謝料が認められることもあり得ます。ただ、1対1で言い合いをしている場合であっても、周囲に誰か他の人がいて、それを聞いていた人がさらに他の人に話すことによって発言内容が広がっていく可能性がある場合には、名誉毀損罪が成立する可能性があります。実際、侮辱罪の刑事上の法定刑は名誉毀損罪のそれよりも相当軽くなっていることからも、このことがわかるでしょう。金額としては、加害者の主婦3人にそれぞれ20万円ずつ、合計60万円の慰謝料支払が命じられました(昭和59年8月29日 仙台仙台地方裁判所)。この事案では、弁護士会は懲戒しないという決定をしており、裁判所は、「根拠なく行われた懲戒請求である」と判断し、懲戒請求者に対し、70万円の慰謝料支払い命令を出しました(平成15年4月18日 神戸地方裁判所)。これら2つは混同されることも多いですが、目的や効果が全く違うものなので、正確に理解しておく必要があります。以上のように、名誉毀損における「事実」については原則として内容の真実性は影響しないので、内容が真実であっても根拠のない嘘や噂であっても、名誉毀損が成立する可能性があります。先に「有名な政治家の過去のスキャンダルを暴いた場合、真実であると証明できなくても、記事を書いた時点でそれが真実であると信じるだけの充分な根拠があったなら名誉毀損罪が成立しない可能性が高い」と言いましたが、これは「政治家相手なら名誉毀損が成立しない」という意味ではありません。そうではなく、複数の送信先にメールを送った場合には、侮辱罪が成立すると考えると良いでしょう。親告罪とは、被害者が刑事告訴をしない限り、行為者を罰することができない犯罪です。ただし、複数の宛先に同じ文章を送った場合やBCC、CCなどによって他の人にも同じ内容のメールを送信した場合などには、それを受けた他の人から不特定多数に伝播していく可能性があるので、「公然と」の要件を満たし、名誉毀損罪が成立する可能性があります。名誉毀損の「事実」の解釈において、混乱を生じないように正しく理解しておきましょう。侮辱行為では、通常、名誉毀損行為よりも慰謝料が認められる可能性が低くなります。ところが「馬鹿」というだけでは、人の資質などに対する評価をしたにとどまり、事実の摘示ををしてはいません。以上のような例外的な処罰の除外規定や解釈方法は、名誉毀損には認められますが、侮辱罪にはありません。他人によって名誉毀損的な行為や侮辱的な行為をされた場合には、民事上の損害賠償ができるかどうかも問題になります。ただし現実には、一般の人が芸能人を多少誹謗中傷しても「刑事告訴」されず、処罰されないケースが多くなっています。反対に、周囲に誰が他の人がいて、それを聞いていた人が発言内容を他に広める可能性がある場合には、「公然と」の要件を満たし、侮辱罪が成立する余地があります。相手が一般人であっても有名人であっても、軽い気持ちで誹謗中傷行為をしてしまうと、多額の慰謝料請求をされてしまうリスクがあるので、くれぐれもそのようなことのないよう注意しましょう。また、たとえ公共の利害に関する事柄であっても、私利私欲のために名誉毀損的な行為を行った場合には、「専ら公益目的」の要件を満たさないので、やはり名誉毀損が成立します。名誉毀損は、人の社会的評価を低下させる事実を広めた人を罰するための規定なので、内容が虚偽の場合、当然に罰されるべきです。反対に、メール送信行為の場合には、相手ひとりだけに送ったケースでは侮辱罪にはならない可能性が高いです。また、名誉毀損行為や侮辱行為を受けたり、逆にこれらを行ったと疑われて困ったときには、弁護士に相談するようにしましょう。また、相手を刑事告訴して刑罰を適用してもらえたとしても、刑事上の手続において、相手から慰謝料などのお金を払ってもらうことはできません。原則として、お金を払ってもらうためには慰謝料請求をする必要があり、これは、次に説明する民事的な問題です。(刑事告訴をした場合に、相手方から慰謝料の支払いによる示談と引き換えに告訴の取り下げを持ちかけられることはあり得ます。)そして、有罪になった場合には、ケースに応じて刑罰が科されます。そこで以下では、名誉毀損で慰謝料が認められた判例とその場合の慰謝料の金額及び、認められなかった判例をご紹介します。一般には芸能人の場合「有名人だからある程度の誹謗中傷を受け入れるべき」「芸能人にはプライバシー権が認められない」などと思われていることもありますが、法律ではそういった考え方はとられていません。このように聞くと「事実」を「真実」であると誤解する人がいるかもしれません。たとえば、実際には真実であるという証明まではできなかったけれども、真実であると信じていたし、十分な根拠もあった、という場合もあります。そういった場合、数百万円以上の多額の慰謝料が認められているケースも存在するので、個人のSNSなどでも芸能人を攻撃するのは、やめておいた方が無難です。ネット上などでは、軽い気持ちで相手をおとしめる発言をしてしまうことがよくありますが、こちらが安易な気持ちであっても被害者にとっては重大な受け止め方をして、刑事告訴されたり民事損害賠償をされたりするおそれがあります。Copyright© 弁護士費用保険の教科書 , 2020 All Rights Reserved.このように、侮辱罪と名誉毀損罪には、基本的に「事実」に関するかどうかという違いがあるだけですが、その違いが実はとても大きなものだということがわかります。名誉毀損の場合、その対象が芸能人か一般人かや、誹謗中傷内容、社会に与える影響の大きさや実際に発生した結果などによって慰謝料の金額が変わってきます。旧厚生省のウェブページにおいて、被害者の保険医欠格期間経過後も「保険医取消」という情報が掲載され続けていたため、これが名誉毀損に該当するとして国を訴えました。このようなケースでは、「たとえ真実性の証明ができなかったとしても、当時の状況から真実であると信じるに足りる根拠があった場合」には、故意でないなどとして名誉毀損が成立しない、と考えられています。相手が名誉毀損的な行為や侮辱行為をしたとき、それが度を超えたものであれば違法性を有することになるので、違法行為となります。(民法710条)芸能人がイメージ低下を恐れて告訴しなければ、加害者に名誉毀損が成立していても逮捕や処罰をされずに済むのです。名誉毀損が成立するためには「あの人は上司と不倫している」とか「あの人は前科者だ」など、具体的な事実を摘示して人の名誉を低下させるおそれを生じさせる必要があります。ネット上の記事は、基本的にインターネットにつながっている環境さえあれば、世界中の誰からでも閲覧できるためです。この記事の執筆者:田中靖子(元弁護士) 「不法行為」とは、事件や事故によって損害が生じることです。 実は、私たちの日常生活には、交通事故やケンカや不倫など、不法行為に巻き込まれる危険が潜んでいます。 ...それでは政治家と同じくスキャンダルや誹謗中傷の対象になりやすい「芸能人」の場合にはどういった取扱いになるのでしょうか?この記事の執筆者福谷 陽子(元弁護士)>>プロフィール詳細日本人は、他国と比べてもTwitter(ツイッター)の利用人口が非常に多くなっています。 しかし、ツイッターはFacebookなどと比べて匿名 ...これらは、犯罪を犯した者を国家が処罰するという、刑事上の問題です。たとえば有名な政治家の過去のスキャンダルを暴いた場合、たとえその内容が真実であると証明できなくても、記事を書いた時点でそれが真実であると信じるだけの充分な根拠があったのであれば、名誉毀損罪が成立しない可能性が高いです。特に、人がたくさんいるところでは、あまり相手を汚い言葉でなじったりしないように注意すべきです。(人がいないところでも、相手を汚い言葉でなじったりすると、不法行為が成立するおそれがあります。)また、相手を匿名にしていても、他の事情と合わせて判断すると特定の人物であると判断できる場合には、名誉毀損(不法行為)が成立することがあります。これに対し、「馬鹿野郎!」などという場合には、「事実」を言っていません。むしろ悪質な誹謗中傷によって芸能人の評判を落として売上げ低下などの損害を発生させたら、莫大な金額の損害賠償が必要になる可能性もあります。これについては、名誉毀損行為と侮辱行為によって金額が異なるので、分けてご説明します。このように「芸能人を誹謗中傷しても訴えられることが少ない」ため、週刊誌やテレビなどでも毎日のようにゴシップ記事が溢れており、世間でも「芸能人を誹謗中傷しても問題ない」かのように受け止められています。つまりこの場合、「公然と」などの他の要件を満たしている限り、侮辱罪が成立する可能性があります。名誉毀損罪と侮辱罪の違いは、事実を摘示するかどうかということです。侮辱罪が成立するためにも「公然と」の要件が必要になるので、ネット上の投稿行為やメール送信行為に「公然と」の要件が満たされるかどうかが問題になります。以上のように、名誉毀損が認められる場合には、通常の場合には慰謝料の金額が数十万円程度であることがわかります。そうなると、根も葉もない嘘や噂の場合には、名誉毀損が成立しなくなるのか?と疑問を持たれることもあるでしょう。ただ、まったくの1対1で言い合いをしていて周囲に誰もいない、という状況では、発言内容が周囲に広がっていく可能性がありません。この記事の執筆者福谷 陽子(元弁護士)>>プロフィール詳細 ネットで誹謗中傷されたり人の集まっている場所で名誉毀損的な発言をされたりしたら、相手に「慰謝料」を請求できます。 その際「内容証明郵便」を使 ...たとえば対立候補を落とすためや気に入らない政治家に対する嫌がらせ目的などで、でっちあげのスキャンダルで誹謗中傷した場合などには「真実であると信じる根拠」はないので名誉毀損となります。なお、ツイッターなどのネット上の名誉毀損については下記の記事も参考にしてください。むしろ、真実であれば、刑法230条の2によって違法性が阻却されることもあります。(詳しくは後述します。)嘘や虚偽の噂の方が悪質なのに、どうしてなのかと思うかもしれません。ネット上に公開してしまったら、広く世間に広がっていく可能性があるので、公然との要件は問題なく満たされることになります。名誉毀損行為の方が侮辱行為よりも、刑事上も民事上も責任が重くなります。今回は、名誉毀損罪と侮辱罪の違いや民事上と刑事上の問題、慰謝料請求が認められるケースとその場合の金額などについてご説明しました。たとえば、不倫をしていないのに「あの人は上司と不倫している」と言われたら、それは名誉毀損を構成する「事実」になります。他人の名誉を毀損したり侮辱したりした場合には、刑法上の名誉毀損罪(刑法230条)や侮辱罪(刑法231条)が成立します。まずは、名誉毀損罪について見てみましょう。名誉毀損罪が成立するには「事実の摘示により」人の社会的評価を低下させるおそれを発生させる必要があります。民法上、相手の違法行為によって損害を被った場合には損害賠償請求ができることになっているので、この場合、相手に対して不法行為にもとづく損害賠償請求ができます(民法709条)。まずは、1対1で言い合いをしているときに、相手から名誉毀損的行為や侮辱発言をされたときに成立するかという問題です。名誉毀損罪や侮辱罪が刑事上で問題になる場合、行為者は、逮捕されたり起訴されて刑事裁判になり、有罪判決を下されたりする可能性があります。この事案は、被害者が自殺していることによって慰謝料の金額が大きくなっていると考えられます。芸能人のスキャンダルを暴く目的も「単なる興味本位」「話題性の追及」などであり、通常は「公益目的」ではないでしょう。なお、侮辱罪の法定刑は、刑法典の中でももっとも軽い部類なっています。名誉毀損における「事実」は、侮辱罪との区別をするための概念なのであり、内容が真実かどうかは問題になりません。場合には、これを罰しない、とされています(刑法230条の2第1項)。